英語タイトルは「TSUYOSHI TANE Archaeology of the Future Digging & Building」
ポスターは、26歳で国際コンペ(2006年)で勝ったエストニア国立博物館(2016年竣工)
Archaeology(考古学)!
展示は撮影可。
Wikipediaによれば、田根 剛(たね つよし:1979年~ )は現在パリを拠点に活動する建築家。
「エストニア国立博物館」のコンペでパートナーであったダン・ドレル(イタリア)、リナ・ゴットメ(レバノン)共に、26歳でパリに建築事務所を設立。
2012年の新国立競技場コンペで「古墳スタジアム」が最終11案のひとつに選ばれた。「エストニア国立博物館」がオープンした翌年の2017年にATELIER TSUYOSHI TANE ARCHITECTSを設立している。
(ちなみに高校時代ジェフユナイテッド市原のユースにいたが、怪我でプロ選手を断念したそうだ)
2016年には、フランク・ゲーリー展のディレクションもされている。
2番目の展示室は「記憶の発掘」
建築の思想・思考を支えるアイデアは「考古学的リサーチ」による記憶の連鎖で呼び起こすという。
壁一面と床に貼られた、そのリサーチ資料。ここだけですでに博物展。
イメージの量に脳が活性化される?
前方後円墳もあった!
続く部屋にはエストニア国立博物館の映像があり、その次の部屋で建築模型群が見られる。手前がその博物館。
実際の建物は幅70m、長さ350mになる。
そこは旧ソ連の軍事基地の滑走路跡。滑走路全体は1.2kmで右下の350mが博物館。
土地の持つ負の記憶を、そこから上昇していく形によって未来に向かうイメージへと転換した。
入口側の端は高さ14m。長大な壁面にはガラスが使われており、そこには民族衣装などに使われていた多様な文様の、白く細かいパターンがつけられている。
エストニアが1991年に独立した際に、国民に国立博物館をつくることが約束されていたという。それを国際コンペにして26歳の外国人案を採用する方も素晴らしい。
2年前の開館だが、ストリートビューでは建築中だった。
こちらは新国立競技場になるかもしれなかった、幻の「古墳スタジアム」
内側に入って中を覗くこともできる。
この競技場は、屋根に上がって”墳丘からの眺め”も楽しめる仕様になっていた。
それぞれの展示では、床に置かれたモニター映像によるわかりやすい解説がある。
古墳のイメージは、神宮の森という土地の歴史、記憶に根ざしたものであり、環境・構造的にもよく計算されたものだったことがよくわかった。
縮尺の小さいほうの模型。南の上空から見た様子になる。
他にも、個人宅や集合施設などについて、思考の跡を辿れるような興味深い展示があった。
最後にパリの事務所の動画があった。
多様な国籍の若者が働いているが、彼らがプロトタイプの模型をつくっている場面での田根氏の言葉が印象的だった。「頭で考えてから手を動かせ」という内容で、まず思考があってそれを形にするというプロセスを大事にされていることが伝わってきた。
一般1200円。ぐるっとパスで”入場”可。
公式サイトに詳しい解説がある。
https://www.operacity.jp/ag/exh214/j/exh.php
おすすめです。ぜひ「体験」を。