前回のつづき。
自由学園明日館(みょうにちかん)へは2年前に訪ねたが、外観のみの見学だった。
やはり内部を見たくて、このたび再訪。
大正10年(1921)築の重要文化財で、設計はフランク・ロイド・ライト。
公式サイトによれば、帝国ホテル設計のため来日していたライトの助手を勤めていた遠藤新が、友人の羽仁吉一・もと子夫妻が創立した自由学園の校舎建設にあたってライトに引き合わせた。
http://www.jiyu.jp/tatemono/myonichi.html
低い屋根のラインと深い庇で水平性が強調された様式は、プレイリースタイルと呼ばれる。
ラウンジホールの窓をズームで。屋根の角度と呼応する斜めのラインが特徴的。
中央棟の左右に教室棟が対称的に配される。壁は木造漆喰塗り。
中央棟の背後には、折り重なるように食堂の屋根。
前面の芝生が丁寧に手入れされている。
内部の見学料は一般400円だが、喫茶付で600円の設定もある。
中央棟の横の入口から中へ。
この日は大掛かりな撮影会が行われていた。
初めに北側の中二階にある食堂へ。
食堂の明かりを支える棒も、屋根の斜度になっていた。
折り返すように続く階段で2階(ラウンジホールにせり出したバルコニー)へ。
この中二階的に連なる空間がライト建築の特色でもある。
そこはライトのミニミュージアムになっていた。
ラウンジホールを見下した眺め。
角には大谷石を用いた柱がある。
帝国ホテルを飾っていた煉瓦も展示されていた。
再び食堂へ。
照明器具の細部にまでデザインが統一されている。
もう一つ階段を折り返してホール(ラウンジルーム)へ。
振り返って見上げるとさきほどのバルコニー。下の奥には暖炉がある。
かつての礼拝施設だが、こちらでコーヒーやお茶菓子をいただける。
大きな壁面には、高価なステンドグラスを使用する代わりに木製の窓枠や桟を幾何学的に配することで、工費を低く抑えつつ見事な空間をつくりあげている。
低い椅子とテーブルで、頭上の空間が大きく感じられる。
バルコニーの下や隣接する部屋の天井は低く抑えられていて、空間の高さの変化が劇的に感じられる効果があった。
室内の階段に使われていた大谷石。
庭の片隅で咲いていた「夏水仙」はヒガンバナ科。
サルスベリも咲いていた。
道を挟んで、耐震工事を終えたばかりの講堂。
遠藤新の設計で、昭和2年(1927)築で、こちらも重要文化財。
このパーゴラは、まさに加地邸(昭和3年竣工)で見た感じ。
周囲はまだ工事箇所が残っていたが、この日ここでイベントが行われていた。
コンサートや講演会、結婚式など、多目的に利用できるとのこと。
http://www.jiyu.jp/kengaku/riyo.html
次の機会でこちらの中にも入ってみたい。