前回のつづき。
哲学堂公園を散策した後は、南西に徒歩20分ほどにある法務省矯正研修所東京支所へ。
中野通りで丁度来たバスに乗って"北野神社”で下車し、住宅街を西へ向かうと広大な土地に出る。1983年に閉鎖された中野刑務所跡で4万坪(13ha)の敷地は、今は平和の森公園や中野水再生センター、法務省矯正研修所東京支所となっている。
水再生センターと矯正研修所との間の歩道を進むと、矯正研修所内にかつての刑務所正門があった。
煉瓦が見事な建物は大正4年(1915)の竣工で、着工は明治43年に遡る。法務省司法技師の後藤慶二(1883~1919)が設計した。
後藤慶二 - Wikipediaによれば、小石川に生まれ東大建築学科に学び法務省に入って営繕技師となり豊多摩監獄の建設に従事、他にも東京区裁判所などを手がけた。スペイン風邪により36歳で夭逝したので、この正門だけが残っている作品となる。
平屋だが高さがあり、壁一面の煉瓦が素晴らしい。
角の部分の積み方も凝っている。
幾重にも連なるアーチ。
貴重で素晴らしい煉瓦建築。矯正研修所は移転の計画があるそうだが、この建物はこの場所に残していただきたい。
法務省矯正研修所東京支所に事前に予約、または敷地の奥にある稲荷参拝を理由とすれば平日の見学が可能のようなので、別の機会に再訪したい。
下記の方のブログに、中野たてもの応援団主催の見学会の様子が記されていて門の向こう側からの写真もある。
現在見られる側はかつての刑務所の内側で、門の背面にあたる。
こちらのサイトには解体前の本館などの写真もある。
豊多摩刑務所 - Wikipediaによれば著名な収監者は、大杉栄、荒畑寒村、亀井勝一郎、小林多喜二 、三木清(獄死)、中野重治、埴谷雄高、河上肇、戸田城聖。
戦前の治安維持法による弾圧の歴史の場。
現在の平和の森公園。