こちらも、乙巳の変から壬申の乱あたりまでの時代を舞台とする小説。
蘇我入鹿の娘が生き残っていたという設定のストーリーは一つの恋愛有り小説(?)であると同時に、小説では脇役である歴史の主役の面々がどこまでが史実かがわからないほど、そうであったかもと思われるリアルさで描かれていて、とても面白かったです。
序と附もある八章の合間に、ストーリーと関連してそのときどきの登場人物の語り口で古事記の物語の一部が挿入されるのもよかったです。
昨年に2度訪ねた丸山古墳なども舞台となっていたので”土地勘”も働いてリアルさが増しました。
丸山古墳 橿原市「古墳めぐりと博物館見学ツアー」・1 - 墳丘からの眺め
国史跡・五条野(見瀬)丸山古墳 奈良県橿原市五条野 - 墳丘からの眺め
壬申の乱での瀬田の唐橋の場面は、先日読んだ「キトラ・ボックス」でもひとつのクライマックスとして描かれていたので、図らずも橋の両側からの視点を味わうことができました。
古代ファン、古墳ファンにおすすめの本です。
3年前に滋賀県の茶臼山古墳に日の出前に訪ねて、(暗かったからだと思いますが)ただならぬ雰囲気に気圧されたことを思い出しました。