墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「江戸と北京ー18世紀の都市と暮らし 似てて、違って、おもしろい」展 @江戸東京博物館

2月18日から両国の江戸東京博物館で開催中の「江戸と北京」展の”ブロガー内覧会”へ参加する機会がありました(4月9日まで)

 

18時半に1階の企画展示室前に集合。入口前には中国伝統の花嫁衣裳をまとった等身大(?)のモンチッチが。

初めに学芸員の方から10分ほどのレクチャーを受けて展示室へ。

 

18世紀に人口百万人超の都市となった江戸ですが、当時は北京も同規模の都市。

この展覧会ではそれぞれの都市の繁華街を描いた絵巻などを比較鑑賞して、”似てて、違っているおもしろさ”を味わうことができました。

 

日本橋通り(日本橋ー神田今川橋)の賑わいが、長さ約12mの絵巻に描かれている「熈代勝覧(きだいしょうらん)」は文化2年(1805)頃の江戸。

日本での公開が11年振りとなるこの絵巻は1999年にドイツで見つかったもので、ベルリン国立アジア美術館所蔵。

 

片や、清朝・乾隆帝の80歳(1790年)を祝う様子を描く「乾隆八旬万寿慶典図巻」は、北京の紫禁城への祝賀行列が通る沿道の様子が色鮮やかに描かれています。チラシ等には日本初とありますが、当日の説明では故宮でも一般公開のなかった世界初の展示と伺いました。

 

北京の繁栄は更に一点、清朝の前々代(初代)皇帝・康熙帝60歳の式典を描いた「万寿盛典」(モノクロ印刷の書籍を絵巻風に装丁したもの)も出品されていました。

 

公式サイト・江戸と北京-18世紀の都市と暮らし- - 江戸東京博物館に部分の画像がありますがかなり小さいので、やはり現物を見ないとその凄さはわからないと思います。

 

それぞれの作品の近くには、当時の看板や商売の道具なども展示されていて、実物や模型を介して、200年ほど前の都市の賑わいをリアルに感じることができました。

 

※以下の会場写真は、博物館より特別な許可を得て撮影したものです。

 

「乾隆八旬万寿慶典図巻」1797年 中国・故宮博物院蔵

驚くほど色鮮やかに残っています。街道を埋め尽くす青い色の特別な装いは満人の官僚でほとんどが男性。漢人はさまざまな装いで、女性や子供の姿もあります。

 

紫禁城近くの沿道はこの日のために特別に設けられた舞台や様々な飾り物で、非日常的な空間になっています。

 

雍正帝の礼服(故宮博物院造)も展示されていました。

 

こちらが江戸を描いた熈代勝覧(きだいしょうらん)の巻頭。

 

東側から斜めに俯瞰する構図で、通り沿いには様々なものを売る店で売り買いをする人々などの日常の情景が描かれています。人物の数はおよそ1700人とのこと。

 

3つの”絵巻”では一番古い「万寿盛典」(1717)は、北京の首都博物館所蔵品。

康熙帝60歳の祝賀行事を記した全120巻の冊子の中の図版(第41・42巻目)で、頁を広げてつなげられたモノクロ版画は148枚・全長は50m余りになり、全部で9000人ほどの人物が描かれているとのことです(展示はその一部)

90年ほど後に江戸を描いた熈代勝覧にポーズが似ている複数の人物があり、熈代勝覧の作者は何らかの形で万寿盛典やその写しを目にしていたのではという推理が図録の解説にありました。

 

絵巻関連だけでなく、商売、歳時、学問や遊びなどの様々なテーマの展示がありました。

 

また、首都博物館秘蔵の清代中国絵画の名品もありました。

こちらでは左の2つには画中を旅したくなるような風景が、そして右の朱耷(しゅとう:八大山人)による墨筆花鳥図軸は薄墨を重ねた蓮の葉(?)の横でニヤリといった風に目を向ける鳥がとても印象的でした。

 

 

ちなみに会場に入って最初のガラスケースのみは、通常時でも「撮影可」となっていました。

江戸の都市構成など興味深いパネルがあります。

 

そしてパネルの手前には江戸東京博物館が所蔵する「江戸名所之絵」1803年、鍬形蕙斎(北尾政美)筆。

 

縦ガラス面に横置きされているので肉眼で細かく見ることはまず無理ですが、ズーム機能を活用しました。カタカナで名所等が記入されていることを後でPCで画面いっぱいに拡大して気づきました。

中央右下が不忍池。その手前には寛永寺の伽藍が見えます(スマホでも横位置にすると結構わかると思います)

 

中央を外堀・神田川が流れます。右下が不忍池。

神田川の一番奥には市谷の八幡宮(チャキイナリの記入も)

橋は奥から牛込橋、水道橋ときて、さらに手前には木樋の”水道”橋も見えます。

さらに前には湯島聖堂や神田明神も。

 

こちらは中央右奥が江戸城で、左の小山が赤坂日枝神社。

中央やや下、手前から二つ目の橋が日本橋。

右下に外堀・神田川がありますが、その左(南)岸沿いには柳が繁っています。

 つい最近知ったことを絵図で確認できたので嬉しくなりました。

神田界隈の寺社とモダン建築・1 和泉橋~海老原商店~岡昌裏地ボタン店~柳森神社 - 墳丘からの眺め

 

こちらは江戸湾へ流れる隅田川。橋は手前から両国橋、新大橋、永代橋。

河口の緑の小島は石川島。更に奥の屋根が増上寺。

 

目玉の絵巻物はケースを上から見ることができるのですが、自分の場合近視+遠視なので眼鏡をかけていると細かいところが見えず、ケースと画面との距離が少しあるので外すとぼやけてしまうというところで、やはり単眼鏡の必要性を感じました…

 

4月9日まで。一般1400円(常設との共通は1600円)