墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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飛鳥寺・飛鳥大仏 奈良県高市郡明日香村飛鳥

前回のつづき。

岡寺の次に訪ねたのは飛鳥寺。こちらには30年以上前の学生時代に一度来たきりだった。

推古4年(596)、蘇我馬子によって日本で初めて伽藍を擁する大寺院として創建された飛鳥寺(鳥形山 安居院、旧称は法興寺、元興寺~平城京へ移転)は国の史跡、かつては3つの金堂に囲まれた五重塔もあったが鎌倉期に落雷で焼失し、今は江戸期に再建された小さな本堂が残っている。

 

見どころは創建当初から同じ位置に安置されている日本最古の大仏。

高さ3mに近い座像は、鞍作止利(くらつくりのとり)により606年に完成。火災に遭いながらも、お顔と手の一部は当初からのものが残っている。

 

門前にあった説明板。

飛鳥寺(あすかでら)
「日本書紀」によれば、崇峻天皇元年(588)に蘇我馬子は法興寺を建立することを計画、同5年には仏堂(金堂)・歩廊(回廊)が完成、推古天皇元年(593)には塔を起工し、同4年には一応の建物が完成した。同13年には丈六仏像を造り、翌14年に安置したとある。日本最古の本格的な寺院で、その造営に際して多くの博士・工人が朝鮮半島から渡来してあたったことが記されている。
大化改新や天皇の病気平癒など飛鳥時代を通じて飛鳥における中心的な役割を果たしたが、建久7年(1196)に消失し、現在に至る。法興寺・元興寺とも称され、現在は止利仏師の作と伝える重要文化財の金銅丈六仏が残る。
昭和31年からの継続的な発掘調査の結果、塔を中心に三方に金堂を置き、北側に講堂、南側に中門・南門の跡があることが判明した。寺域は南北290m、東西200~250mの規模をもち、飛鳥では大官大寺とともに、最大規模の寺院であった。

 

拝観料は一般350円。靴を脱いで本堂に上がるとすぐ目の前におられた。

 

撮影は許されている。

 

しばらく見とれていると僧侶の方による説明が始まった。

 

滔々とした語りに引き込まれる。かつてはこの位置は中金堂の大きな空間内にあった。建物は変わっているが、いまいるその場から推古天皇も大仏を見上げていたはず、という説明が印象に残った。

 

横からの姿も拝める。

お寺には瓦などの出土物も展示されている。

 

西側の門を出ると目の前に甘樫の丘。

 

路をすすむと飛鳥寺西門跡があった。

飛鳥寺西門跡
飛鳥寺は西暦588年につくり始められた日本最初のお寺。塔を中心にその北と東西に3つの金堂がたっていた。北の中金堂にあった鞍作鳥(くらつくりのとり)作といわれる飛鳥大仏は、いまもその位置を動いていない。西門は礎石をおいて柱を建てた瓦葺きの門。間口3間11.5m、奥行2間5.5mの規模だった。門の西には塀があり、土管をつないた上水道が埋まっていた。寺の四方に開いた門のなかでは、この西門が最も大きい。寺の西に、飛鳥の檜舞台「槻(つき:ケヤキの古名)の木の広場」があったからだ。中大兄皇子と藤原鎌足はここの蹴鞠の場で出会い、645年に大化改新をなしとげた。この時、二人は飛鳥寺に陣をかまえ、西門から甘橿丘の蘇我入鹿・蝦夷の舘をにらんでいた。672年の壬申の乱の時には広場を軍隊がうめつくした。その後は、外国使節や遠方の使者を歓迎する宴会の場となり、噴水がおかれ、歌や踊りが満ちあふれた。西門はそんな飛鳥の歴史をみまもってきたのだった。

中大兄皇子と藤原鎌足が出会った、蹴鞠会場の現場。

 

ここには乙巳の変で中大兄皇子に討ち取られた蘇我入鹿の首塚もある。

 

そのあたりから南側の眺め。

かつては宮廷や役所の建物群、苑池などが整然と並んでいた。左の奥に飛鳥浄御原宮や板蓋宮が、右手には飛鳥京苑池があったとされる。右奥の小山の裾には川原寺がある。

 

飛鳥寺の紅葉。

 

門前の木についた苔。

 

 

このあと1kmほど離れた奈良文化財研究所飛鳥資料館へ。入館料は一般270円。

高松塚古墳やキトラ古墳関連の展示や復元された山田寺回廊など興味深いものが沢山あったが閉館間際で時間がなく、歩きながら見て回る形になってしまった(入館は16時まで。16時半閉館)

内部も撮影可とのことだったが、ホームページによる公開等は申請が必要で有料となることを後で知った・・・撮影について - 飛鳥資料館|公式サイト

 

再現された飛鳥時代の庭園が美しかった。大きな須弥山石は斉明天皇離宮跡から出土した石塔の噴水装置(実物は館内に。ちなみに有料エリアは館内)

 

同じく石人像のレプリカ。こちらは水を噴き上げていた。

 

酒船石遺跡のレプリカ。

 

出水酒船石のレプリカ。浄水施設のようにみえた。

 

亀石のレプリカ。

つづく。