墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「オランダのモダンデザイン リートフェルト/ブルーナ/ADO」展 @東京オペラシティアートギャラリー・初台

前回のつづき。

初台まで来たので、東京オペラシティ アートギャラリーに立ち寄りました。

 

オランダのモダンデザイン界を代表する3人、家具デザイナーで建築家のヘリット・トーマス・リートフェルト(1888~1964)、ミッフィーで日本人に馴染み深いディック・ブルーナ(1927~)、および玩具シリーズのADO(アド:Arbeid door Onvolwaardigen・障がい者による仕事)を結核療養の労働セラピーとしてリードしたコー・フェルズー(1901~71)の作品展示。

 

こちらの美術館は平日(月は休)でも19時まで、金・土は20時まで開館してます。

企画展入場料は一般1200円ですが、ぐるっとパスで”入場”できます。

 

ちなみにぐるっとパス(2016)は都内79の美術館・博物館の入場券・割引券が綴られていて有効期間は購入日から2ヶ月で2000円。企画展も入れる館もあって、当展示(1200円)と東京都庭園美術館のボルタンスキー展(900円:~12/25)だけで”もとはとれ”ますが、今であれば三井記念美術館の松島瑞巌寺展(1300円:~11/13)や五島美術館の平安古筆の名品展(1200円:~12/4)などに興味があればかなりお得になります。https://grut.to/

 

初台へ来たのはこの、オランダのモダンデザイン展が第一目的ではなかったですが、見ることができてとてもよかったです。

 

本展は撮影不可。

入るとまず、ヘリット・トーマス・リートフェルト(1888~1964)の椅子が展示されています。

レッド・ブルー・チェア(1918~23)はリートフェルトが参加した「デ・ステイル(モンドリアンらがはじめたオランダの前衛芸術運動:1917~32)」が立体造形物となったような椅子。

埼玉県立近代美術館へ行ったときに室内に置かれているのを見ています(左の椅子、埼玉近美では座れます)

「材と材を互い違いに交差させるユニークなジョイント構造」(公式サイト解説より)の工夫が見ていてわかりやすく面白かったです。

組んだ材の端を少し出して、色を塗るだけでこんなにデザイン性が高まるとは。

端を丸く処理したバリエーションや、シンプルなZの形の椅子も展示(見るだけ)されています。

学校の技術の科目で木工製作をしている中学生にぜひ見てほしいと思いました。

調べていたら過去の番組で詳しく取り上げられていました。KIRIN~美の巨人たち~

 

世界遺産の「シュローダー邸」(1924)はリートフェルトが初めて手がけた建築作品で、大きな写真や図面、映像による展示でした。

椅子のデザイン思想がそのまま空間全体に拡大して家になったような印象ですが、小さなスペースをさまざまに工夫して親密性と開放性を両立される素晴らしい建物となっています。

前にテレビで(世界遺産?)の放送を見て初めて知りましたが、行ってみたいと思わせる魅力がありました。

公式サイト・オランダのモダンデザインには下記のように記されています。

この小さなローコストの住宅は、夫を亡くし愛児3人と親密かつ豊かに暮らしたいという施主シュローダー夫人の希望に応えるべく、彼女との協働によって生みだされたものでした。そこには、育児をはじめさまざまなニーズに対応する空間のフレキシビリティ、プライバシーと親密さのバランス、シンプルな機能性、そして自然との共生など、今日にもつながる新しい「暮らし」へのヴィジョンが、家具職人としの工夫とともに、随所にちりばめられています。素朴な暖かみのある手作り的なアプローチから驚くべき先進性を実現したリートフェルト独自の物づくりの姿勢は、今日にいたるまで、この家を訪れる人々に強い印象を与えつづけています。

 

現地はオランダのユトレヒトですが、見学には予約が必要のようです。

 

展示はディック・ブルーナの部屋へと続きます。

ブルーナが、マティスやレジェらモダン・アートに啓示を受けアーティストを志していたことは今回はじめて知りました。

本の表紙やポスターを1951年から本格的に手がけ、1955年からシリーズ化されたペーパーバックの表紙デザインは以後20年で約2,000点に及ぶ膨大なものとなっています。

天井から床に並行に張ったピアノ線群に作品が並べられて、作品の森に入っていくような展示でした。

 

最後のADOの玩具は手に取って、触ってみたくなる形。3原色を中心としたシンプルな色づかいは3人に共通するものでした。

オランダのモダンデザイン|東京オペラシティアートギャラリー

 

中庭にはジョナサン・ボロフスキーの「シンギングマン」(左下)

 

口をゆっくり動かして、今日もかすかに歌っていました。