墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

画像が出ない場合はPCで、クロームOSでお試しください。

氷見市立博物館 富山県氷見市本町

前回のつづき。

石川県・能登島の須曽蝦夷穴古墳を見た後は、富山県に戻って氷見の古墳へ向かった。

初めに氷見市立博物館へ立ち寄った。能登島から車で1時間ほど、能越自動車道が整備されていた快適な道のりだった。

 

氷見の街に入ると、アーケードのある商店街が長く続いていた。

 

中央公民館に併設された氷見市立博物館の入口。

 

中にはいると博物館入口がある。 

 

 ちなみに氷見(ひみ)名前の由来は氷見市公式ホームページよれば諸説あるようだ。

「氷見」と書いて「ひみ」読ませるのは全国的にも珍しく、愛媛県西条市に同じ読み方をする町名がありますが、その他には無いものと思います。もし有りましたら是非教えて下さい。
由来については、諸説がありますが、
・古代、蝦夷防備の狼煙を監視する場所で、狼煙の火を見るところ だから火見と言った。
・海をへだてて、立山連峰の万年雪が見えるところだから氷見と言 った。
・海の漁り火が見えるところだから火見と言った。
・海が干し上がって、陸地になったところだから干海 (ひみ)と読んだ
等様々な説があります。

 

須曽蝦夷穴古墳を見ると、最初の説にリアリティを感じる。

 

公式サイト 氷見市立博物館:博物館概要の案内図。氷見といえば定置網漁で有名でもあるので漁労関係の展示スペースも大きい。

博物館見取図

 

氷見の地形の大パネル。氷見市は人口5万だが面積は230平方キロ、山の手線内の3.6倍の広さで遺跡も多くある。平野の真ん中に突き出た尾根を下ったところに中心部がある。

 

個別の遺跡が地形模型とともに展示されていて理解しやすい。

 

縄文期の大境洞窟住居跡(国史跡)の復元模型。

 

子供のかたわらには石棒が。神棚のような位置づけか。

 

蛇腹のような胴部が特徴的な縄文中期の「装飾把手付深鉢」(レプリカ・朝日貝塚出土)

 古代の遺跡分布。古墳もかなりある。

 

朝日長山古墳の竪穴系横穴式石室(推定)の模型もあった。

 

遺物も小さなサイズで作りこまれている。

 

朝日長山古墳は昭和になって土採りと宅地造成によって消滅したが、昭和27年に氷見高校歴史クラブが発掘調査し、記録と石室からの出土物が残っている。

かつて残っていた部分は全長43mの前方後円墳。6世紀前半。

朝日長山古墳

6世紀のはじめごろ継体天皇が越前からの勢力をのばし、加賀、能登、越中の諸豪族は、天皇に協力した。朝日長山古墳に葬られた豪族もその一人であろう。
古墳の主は、中央政権との結びつきを強め山を削り、土を盛り、埴輪を並べ、大きな石で墓室をつくり、沢山の武具、宝器を副葬し、その権力を誇示した。

 

朝日長山古墳出土の胡籙金具(ころくかなぐ) 、管玉・丸玉、須恵器、埴輪片など。

 

氷見には横穴墓跡も多い。

加納横穴墓群
権力者が大きな墳墓を築いた時代にむら人は簡単な穴に葬られていました。しかし、6世紀後半ごろ、むらの有力者が独特な墓をもちはじめる。加納。坂津などの丘の斜面にたくさんの横穴があるが、これが横穴墓と呼ばれる当時の墓である。
遺体を葬った奥室では食物を盛る土器、刀や鏃、馬具、耳環や玉などの服飾品が発掘され、むらの有力者の生活が浮かび上がる。横穴墓は7世紀代に国の政策もあって、つくられなくなった。

 

横穴墓からの出土物など。

 

中世山城跡も残っているがじっくり見る余裕がなかった。

 

漁労関連のダイナミックな展示。

 

氷見沖の定置網の様子。

3000m級の立山連峰を源とし森の有機質を蓄えた河川が流れ込む富山湾は、海底地形も大陸棚から一気に1000m落ち込む「海底谷(ふけ)」となっているが、谷底に流れ込む有機質はプランクトンを培養し、それをエサとする魚は大陸棚に向かって浮上するので、“ふけぎわ”は良質の漁場となる。

氷見沖は富山湾で最も大陸棚が発達していて“ふけぎわ”が多く、古くから漁業が盛んで今も40数ヶ所の定置網が設置され県内随一の漁獲量を誇っているそうだ。

氷見の魚。おいしいのには、ワケがある。 - きときとひみどっとこむホームページ

 

ブリ落とし網の模型。

 

ドブネ(古い時代の刳り船とよく似た形をもつ、胴部分の断面が四角形の大型漁船)の模型(中央)

 

入場口付近には、平安時代末頃の丸木舟(井戸に転用されて切断されたもの)が展示されていた。

最大幅102cm、鞍川D遺跡で出土したもので本来は全長10m超と推定されるそう。 

 

「昭和30年代の居間」の部屋もあった。

 

懐かしさが漂う(自分には)

 

展示室の一角に農家が再現されていた。

 

雑然とした雰囲気がリアル。

 

蚊帳が吊られた部屋もあった。

 

土間の農具。

 

 リアルな土壁が博物館の中に立つ。

公式サイトにも写真入りで常設展示の説明があった。

氷見市立博物館:常設展示

 

博物館の見学後、JR氷見線の終着駅・氷見駅へ行ってみた。 

 

列車は入っておらず。

 

突端の車止め。

 

車止め側から。腕木式信号と転轍機が飾られていた。

 

線路の端から。

 

改札は懐かしい形だが、中央にスイカの機械がある。

 

駅のポスターは冬の寒ブリ。

つづく。