墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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松岡美術館 東京都港区白金台

目黒自然教育園へ行った際に、すぐ近くにこの美術館があることを知った。このたびぐるっとパスを購入し、「入場券」がついていたので行って見た。

地下鉄の白金台駅から徒歩6分、プラチナ通りを北へ向かい最初の信号で左に入ったところにある。

 

美術館創設者は松岡地所創立者の松岡清次郎氏。美術館は松岡地所が運営している。

明治27年(1894)に築地の米穀商の三男として生まれ、貿易商、製氷・冷蔵会社、不動産会社を興し、新宿セミナーや新宿美術学院という予備校も作り、平成元年(1989)まで長生きされた(享年96歳)

その人生にも興味がわいたが、コレクションも素晴らしいものだった。

 

1800点を超える所蔵品の大半は清次郎氏が一代で蒐集したもので、購入したものは一点も手離したことがないとのこと。

今でも清次郎氏のポリシー「私立美術館というものは、美術品を蒐集した館の創立者或いは一括寄贈した蒐集家の美に対する審美眼なり鑑識眼を、その一つ一つの美術品を通して一般観者に訴えるべき一つの場所」が貫かれている。

以上は公式サイト松岡美術館より。

 

美術館は昭和50年に新橋の自社ビル内に開設されたが、平成12年(2000年)に現在の創立者私邸跡地に新美術館を建設し、移転・再開したそうだ。

 

館内・作品の撮影は三脚、フラッシュを使わなければOK。デジカメシャッター音は禁止。

コンデジを持ち合わせていなかったので、iphoneに無音カメラアプリをダウンロードして、数ある作品のいくつかを撮影した。

 

エントランスホールで出迎えてくれたジャコメッティ作の「猫の給仕頭」1967年

 

階段脇には古代ローマ期のゼウス像とアフロディテ像。

 

入口すぐ左の第1展示室には古代オリエント(エジプト期・ヘレニズム期)の品々。

彩色木棺:中部エジプト出土 紀元前4世紀頃。

 

鏡で内刳りに描かれた絵も見ることが出来る。 

 

これが常設展示とは。

 

エジプト新王国時代第18王朝(B.C.1550~1295頃)に遡るセクメト女神像。

 

エジプト新王朝時代(B.C.1300~1200頃)の「エネヘイ像」
エネヘイは、当時の神官プタハ・メイと妻ハトシェプストの娘の名前

2000年以上の時を経て今ここにある”本物”の存在感。

 

この「馬頭部」は地中海東部小アジア海岸地域で出土したヘレニズム期(紀元前3世紀)のもの。 

 

隣の第2展示室は ブールデルやヘンリー・ムーアなどの部屋。

時間の積み重ねは経ていない現代彫刻だが、形としての存在感がある。

 

次の第3展示室には、数多くのガンダーラ石造彫刻や中世ヒンドゥー教彫刻といったインド彫刻。自分には今回この部屋が、一番充実しているように感じられた。

 

中国、南北朝時代(6世紀)の菩薩立像。像高は171.5cmの石灰岩製。

 

唐時代(8世紀)の如来頭部。素材は大理石。

 

クメール(9~10世紀)の男性像。

 

グラマラスな、西インドの「樹神」11世紀頃。

 

賑やかな、中インドの「スーリヤ」10~11世紀。

 

独特な仕草の、東インドの「ヨーギニー」11~12世紀

 

ハンサムな、ガンダーラの菩薩立像は3世紀の作。

 

2階へ上がる階段からは庭の緑が目に優しい。

 

 第四展示室では、キスリングやシャガール、ユトリロ、藤田嗣治らの作品が。

 

藤田嗣治の「聖誕 於巴里」1918年 114cm×146cm

 

第6展示室にはヴランマンクやヴァン・ドンゲンの作品。

 

 第5展示室では宋から元までの中国陶磁の企画展示があった(9/24まで)

 

こちらケースは、北宋から金、元代にかけての磁州窯の白釉の品々。

 

今回の展示にはなかったが、松岡コレクションには室町水墨画からの日本絵画や、中国の明清書画もある。そちらもぜひ見てみたい。

 

入館料一般800円だが、公式サイトに100円引きの割引券がある。

 

帰り際。玄関の敷石も見事だった。