墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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川崎市民ミュージアム 常設展・「生きるアート折元立身」展 神奈川県川崎市中原区等々力

前回のつづき。

加瀬台にてツアー終了後、前に来たときに休館日だった川崎市民ミュージアムを再訪することにした。

北加瀬の停留所からバスに乗って武蔵小杉駅へ。高層マンションの林の中を少し散歩して駅北口から市民ミュージアム行きのバスに乗った。

 

10分ほどで到着。建物の中を抜けてグランド側から。

 

 

巨大は鉄の塊は、溶けた銑鉄から炭素や不純物を取り除いて鋼にする「転炉」だった。

トーマス転炉(NKK寄贈)

外径約4.2m 高さ約7.6m、重量約60トン
このトーマス転炉は、イギリス人シトニー・G・トーマスによって発明された燐を含む鉄鉱石の利用を目的とした製鋼炉である。NKK(日本鋼管株式会社)では、昭和12年(1937)にトーマス転炉を導入し、翌年から昭和32年まで京浜製鉄所に設置し、稼動させていた。
設置当時、日本は満州事変などによる景気の好転を背景に、鉄鋼の国産化推進が強く求められていた。NKKの今泉嘉一郎は、輸入スクラップに依存しない鋼の高能率製造法としてこの転炉に着目し、ドイツで普及していた転炉を、我が国で唯一導入したのである。これによりNKKは、民間鉄鋼業界では初めての銑鋼一貫体制を実現させた。
このようにトーマス転炉は、日本の鉄鋼業界の発展に大きく貢献し、世界屈指の鉄鋼生産国に日本を成長させる基礎を作ったのである。
それと同時に、京浜工業地帯発展史の上でも象徴的な産業遺産と言えるだろう。

 

正面のグランドでは陸上競技の練習中。その先には武蔵小杉の”摩天楼”

 

博物館常設展の展示は非常に充実していた。入場は無料。

残念ながら館内の撮影は禁止。

2階の広いスペースは民俗、原始、古代、中世、近世、近現代に分かれていて、見応えがある。

 

古代のセクションでは古墳時代から平安時代にかけての資料が見られるが、白山古墳や観音松古墳からの出土物の精巧なレプリカを見ることができた。

自分にとっての一番のみどころは馬絹古墳石室の3分の2サイズ復元模型。なんと玄室の中に入れる。

新品の状態に復原された三角縁神獣鏡(日時によっては手に取る体験ができる)や埴輪女子などの展示もあった。

縄文土器、弥生土器の展示はほとんどがガラスケースなしで、至近距離で観察することができて面白かった。

 

ほかの時代も川崎宿のジオラマや大師電気鉄道の模型、高度成長期の川崎の写真など盛り沢山の展示。

多摩川の歴史では、かつての渡し場があった川崎、武蔵小杉(丸子)、二子玉川、登戸が現在の街にそのまま符合するということに歴史が連続していることを感じられる。

多摩川の両岸には古墳も数多く築かれている。


この日は企画展「生きるアート 折元立身」展が開催中だった。

 

下記が公式サイト。

公式サイトより

折元立身(1946年川崎生れ、川崎市在住)は、パフォーマンス・アーティストとして、ヴェネチア・ビエンナーレを始め現代美術の前線で、40年以上に渡り、国際的な活動を繰り広げてきました。その作品は、ひとを驚かせるユニークな発想に満ちています。90年代には、顔一面にフランスパンを付けた異形で世界各地を旅し、現地の人々と交流した「パン人間」の路上パフォーマンスで注目されます。90年代後半には、自身が介護するアルツハイマー症の母を作品に登場させた「アート・ママ」のシリーズで世界的に知られるようになり、愛する母とのコラボレーションによる作家活動としてテレビや新聞・雑誌などでも取り上げられました。
折元の作品は、さまざまなひとびと(世界各地の道行く人々、介護する母、おばあさんたち、入院している人々…)との即興的なふれあいを通して生まれます。ふれあいの対象は、人間にとどまらず動物たち(うさぎ、豚、鶏、アルパカ、あひる、魚…)にまで及び、生きとし生けるものとのコミュニケーションをアートにするという独創的な世界を切り開きました。
本展では、著しい進境を見せた1990年代から今日までとどまることなく繰り広げられてきた折元の創作の軌跡を、映像、写真、グラフィック、ドローイングといった多彩な表現で紹介します。

 

折元立身はこの展覧会で初めて知ったアーチストだったが、そのエネルギーに圧倒された。

壁一面のドローイング、パフォーマンス映像、「パン人間」や「アート・ママ」の写真など作品は、さまざまなメッセージも含むが基本的に明るくパワフルで面白い。

20分強の映像「500人のおばあさんの昼食」(アレンテージョ・トリエンナーレ2014)は、ポルトガルの世界遺産エヴォラの修道院に地元のおばあさん500人を呼んで一同に会して食事をする、というパフォーマンスだったが、見ているとなんだかとても楽しくなった。

入館料700円。7/3まで。

 

こちらのサイトにも大きめの写真で紹介されている。

鬼才・折元立身、国内最大規模の展覧会を地元川崎で開催へ | Art Annual online