墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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重要文化財 髙島屋東京店(日本橋店) 東京都中央区日本橋

10月31日の土曜日、東京文化財ウィークの一環の「東京シティガイドクラブの文化財めぐり~都心の重要文化財建築を見る(1)」に参加した。

髙島屋東京店~日本橋~三井本館~日本銀行本店本館~東京駅と3時間強のコース。

20人ほどが2班に分かれ、ガイドの方の話を聞きながら3kmほどを歩いた。

 

最初の訪問地は髙島屋日本橋店。重文登録名称は髙島屋東京店。

平成21年に百貨店建築として初めて重要文化財に指定されている。

昭和8年(1933)、高橋貞太郎設計により竣工。日本生命が東京支店ビルとして新築したが、髙島屋が百貨店としてそのビルを賃借した。

戦後、昭和27年から40年まで4次の増築が村野藤吾の設計により行われた。

いただいた解説に文化財指定理由が記されていた。

西洋の歴史様式に日本的な要素を加味した高橋貞太郎による当初設計部分(戦前)と近代建築の手法を駆使した村野藤吾設計による増築部分(戦後)から成り立っており、その全体が一体不可分の建築作品として完成度が高く、わが国の百貨店建築を代表するものとして重要。

 

たなびく旗に下にせり出すバルコニーの下部は、寺院建築などで軒下に見られる組物(肘木)で支えられている意匠になっている。鉄筋コンクリート造なので構造的には不要のもの。

 

バルコニー下の3連アーチの上の、蟇股(かえるまた)も和様建築の意匠。

 

 各柱の同じ高さに空いている穴にはかつて街灯が嵌め込まれていた。

 

隅がカーブが優美。 

 

南側の側面にも正面と同じ意匠のアーチがあったがこちらは単独。ここより右は村野藤吾による増築部分。

 

全面ををガラスブロックで覆って採光に配慮しつつ、上部は当初デザインを連続させて一体感を演出している。右奥の5階部分の外バルコニーに笠置季男による屋外彫刻が見えている。

 

館内は撮影禁止だったので、正面入口扉の前まで。

大理石で覆われる壁面だが、ドアの上にガラスが嵌め込まれた「欄間」がある。

 

表通りに面した側にも。

 

 釘隠しのような飾りもついていた。

 

上は格天井のデザイン。 

上記のエントランス部分を拡大したような意匠が、入ってすぐの吹き抜けホールのあちこちに施されている。大きな柱の上部には和様の肘木の意匠が取り付けられているが、浮き彫りはアカンサス(西洋風)と雷文(中国古代風)が同居する。

柱頭部は2階に上がるとよく観察できるが、創建時の手摺り(保護柵の先)も見所のひとつだった。

別の見所は有名なエレベータ。オーチス社製で、当初のカゴを改修しながら今でも使っている。向かって左の13号機エレベータの1階扉の絵は東郷青児の手による。

 

大規模な建築であっても、「神は細部に宿る」ことをしっかりふまえて造られているように感じた。

ツアーだったので駆け足になった。また別に機会でじっくり観察したい。

 

北側の区画は大規模再開発中。地上31階建てで高さ180mだが、中層の軒までは現在の髙島屋(中央)と高さを合わせるようだ。

 

完成は平成30年(2018)12月下旬とのこと。