前回のつづき。
三菱資料館を見た後に、これまで訪ねたことはあっても建物の写真を撮っていなかった旧岩崎邸を訪ねた。
岩崎彌太郎の長男で三菱第3代社長の岩崎久彌の本邸として建てられたジョサイア・コンドル設計による明治期の木造洋館。
東京都公園協会が管理する「旧岩崎邸庭園」の一部となっていて入園料は一般400円。休園日は年末年始。
木造なのによく残った。
以下は説明板より。
旧岩崎家住宅(重要文化財) 台東区池之端1-3-1
明治から昭和にかけての実業家、岩崎久弥のかつての住宅。明治29年竣工した。
設計者はイギリスのジョサイア・コンドル。上野の博物館(現在の東京国立博物館)や鹿鳴館など数多くの官庁の建造物の設計監督にあたり、19世紀後半のヨーロッパ建築を紹介して日本の近代建築の発展に指導的役割を果たした。
同一敷地内に洋館―社交の場、和館―生活の場を併立する大邸宅は明治20年頃から建てられたが、岩崎邸はその代表例であり、現存する明治建築として貴重である。
洋館(木造二階建地下室附)正面に向かって左半分が主屋でスレート葺の大屋根をかけ、その右にやや規模の小さい棟が続く。両者のあいだの玄関部には塔屋がたち、角ドーム屋根となっている。南側のベランダには装飾を施された列柱が並び、全体的にはイギリス・ルネッサンス風となっている。洋館左側に建つ撞球室(ビリヤードルーム、木造一階建地下室附)とは地下道でつながれている。
洋館と撞球室は昭和36年に重要文化財指定を受け、昭和44年には和館内の大広間と洋館の袖塀一棟が追加指定を受けた。
平成10年3月 台東区教育委員会
東側を除いた周囲は文京区。
上記解説にある「袖塀」 現在のチケットブースの位置から振り返ったところにある。
意匠まん中の丸い膨らみに、三菱家の家紋「重ね三階菱」が刻まれている。
塔屋の真下が玄関になっている。靴を脱いで中に上がり、1階、2階、和館と見て回れるが、内部(バルコニー上も)は撮影不可だった。大階段、柱や天井、壁紙や照明など見どころ満載だが、外に出られる2階のバルコニーがとても気持ちが良かった。
以下は公式サイトの概要より。
館内の随所に見事 なジャコビアン様式の装飾が施されていて、同時期に多く建てられた西洋建築にはない繊細なデザインが、往事のままの雰囲気を漂わせています。
重厚な階段室の外側。3連のアーチの上に小さな塔屋があった。
東側側面。向かって右が入口の玄関側になる。
見どころは公式サイトに詳しい。
柔らかな階段の曲線。
上記の背面には撞球室の入口がある。
外からのみの見学だが、横からの光が内部を明るくしていた。
撞球室の全景。上の写真は左端の赤テープの位置から撮った。
洋館と撞球室とは非公開の地下室で連絡しているが、 11/3と28には、その地下室にも入れるツアーがある。先着順で人気は高そうだが。
そしてこちらが主屋の南面。
錦絵の洋装美人が顔を出しそう。
外からだと、バルコニーのための建築のように見える。
主屋1階の南面バルコニーを外から。
2階の東側。柱頭はイオニア式。
1階の柱頭はドーリア式。
こちらは「生活の場」であった和館。
正面に敷かれた石が巨大で圧倒された。
後で隣の建物(国立近現代建築資料館)から見た建物西面。
1階の、洋館と和館の接続部分。
往時は、現在の3倍の約1万5千坪(5ha)の敷地に、20棟もの建物が並んでいたそう。
洋館のクリーム色が、芝生の緑と空の青に映えていた。
つづく。