墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生展 @Bunkamura ザ・ミュージアム 渋谷

金曜日の夜、9/9から始まった「風景画の誕生」展を見に行きました。金・土は21時まで開館(平日は19時)していて勤め人に優しいBunkamuraの美術館へ。今年の2月に下記の本を読んで、気になっていた展覧会でした。

 

9月はまだまだ先と思っていたらもう展覧会が始まっていました。そしてそこには、パティニールの作品も来ていました。 本作「聖カタリナの車輪の奇跡」(1515年以前 27cm×44cm)は「パティニールの初期作品」として「研究者の意見が一致している」貴重な作品。

画像(部分)は下記の公式サイトより。

 

高い位置に水平線を置いて奥深い遠望を俯瞰できる構図を取り、水辺の遠景と岩場の近景が対比しながらも遠景の細部にまでフォーカスが合った状態で描かれています。 遠景の処刑も、近景の奇跡もショッキングな場面ですが、全体に無音の静けさに包まれています(絵画なので当然ではありますが)

しばらくの時間眺めていたくなる風景ですが画面が小さく、自分の場合は近づいても眼鏡では厳しいという状態になってきているので、なかなか難しい。が、この日は混雑は全くなく、この絵の前に誰も立っていない瞬間が何度かあったので、結構たのしむことができました。

できれば単眼鏡を用意するのがよいかと思います。

展覧会カタログには表紙、裏表紙そして中にも2頁拡大図が載っていたので、思わず買ってしまいました。 カタログには(上記の文のカッコ内も)、「パティニールは風景画というジャンルの創立者とされ、《聖カタリナの車輪の奇跡》は「世界風景」の条件を満たす彼の最初の作品である(Gibson 1989,S.6)」との解説がありました。

展示作品はウィーン美術史美術館が所蔵する、16世紀後半から18世紀にかけてのフランドル、オランダ、イタリア絵画70点。陳列構成は「聖書や神話の主題」から「月暦画や時祷書」の世界、「牧歌」、そして「自立的な風景画」「都市景観」という流れでした。

ヒエロニムス・ボスに倣った作品や「ベリー侯のいとも豪華なる時祷書」の復刻版に触れる(ページをめくれる)展示などもあって興味深かったです。

113cm×204cmと比較的大きな画面の「盗賊の奇襲が描かれた高炉のある山岳風景」(ルーカス・ファン・ファルケンボルフ 1580-85年頃)にも見入ってしまいました。

東京展は12/7まで、その後は静岡(県立美術館2015/12/19~2016/3/21)、久留米(石橋美術館2016/4/2~2016/6/12)に巡回するそうです。

風景画のジャンルを概観するものではないですが、「風景を主題とした絵画が、独立した内容を持った『風景画』として意識され制作されるようになるのは、17世紀オランダにおいて」(カタログ27p)であり、その過程を作品で実感できました。

混雑する前に、ぜひ。