8月23日の日曜日、東京都美術館にて。
実は前日15時からのトークイベント「SANAAが語るニーマイヤーの魅力」を聞きたかったが、朝10時過ぎに公式サイトを見たらすでに満員となっており、翌日午後とした次第。
10月12日までと、まだ期間があるせいか混雑はなく、模型や写真、映像(長いが面白い)をじっくり見ることができた。若い層が多く来ていたが、同時開催でトーマス展もあったせいか子供連れも結構あった。
入口のパネル。
オスカー・ニーマイヤー(1907~2012:没年104歳)はリオデジャネイロ生まれの建築家。
1950年代、何もなかった広大な荒野に3年半で首都ブラジリア(1987年に世界遺産認定)を創造するプロジェクトに携わり、主要な建物を設計した。
「その有機的でダイナミックな曲線とモダニズムの幾何学の調和を特徴とするデザインは今なお多くの建築家に影響を与え」ていて、会場構成を担当した建築家ユニットSANAA(妹島和世+西沢立衛)も影響を受けているようだ。
展覧会|東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
入ってすぐに建築家本人の映像展示。
マーロン・ブランド のような迫力があった。
長生きされ、活動期間も長かったせいか、さまざまな年代の写真がある。椅子は展示物。
自邸を背景にした自信溢れる1枚。「どうだ!」という印象。
視線は異なるが明らかにこちら側を意識していると思われる。
インタビュービデオがいくつかあったが、本人がとても「かっこいい」
説明をする際、背後のボードを使ってピカソのクロッキーのようにするするっと太い線でデザインを説明する姿が印象的だった。
曲線の話になると女体美がコメントされる。
Wikipediaを見たら2006年(98歳!)に秘書と再婚とあった。
初期の作品。ベロオリゾンチ(リオの北400km)の複合施設、パンプーリャ・コンプレックス。「湖を中心とした景観と一体となった景観」は「ニーマイヤー建築の特色」とのこと。
この設計を依頼したベリオリゾンチ市長のクビチェック氏が後にブラジル大統領となり、新首都ブラジリアを計画・実現する。
平面プランに直線がないダンスホール。
屋根が波打つヨットクラブ
半円の屋根が並ぶ教会。
次にカノアスにある自邸。
自信溢れる1枚を撮った場所。
1952年竣工のNYの国連本部ビルもニーマイヤーとコルビジュエの共同案によるもの。
次の部屋はブラジリア建設プロセスの展示。「わずか3年で作られた人工都市」
デザインが統一された新しい人工都市。東京と対照的。
以下は展示パネルより。
水平に広がる広大な風景の中に点在するように配されたニーマイヤーの建物は、そのどれもがユニークな形態を持つ。このように、一国の首都の中枢となる建物のほとんどを、ひとりの建築家が手がけるということは、他に例がない。
写真が素晴らしかった。半世紀前だが未来的。
冠のような大聖堂。
デザインを木組みで表していた。
こちらは大統領官邸の外柱。
この隣の部屋で、ニーマイヤーの自伝映画が見られる。20分ほどあったと思うが、大変興味深かった。特にブラジリアの都市建設の熱気がよく伝わってきた。「建築物のスケッチを描いている段階で測量が始まり、測量を行なっている間に着工がなされ、測量が終わるのは建設完了とほぼ同時だった」という話もあった。
ニテロイ現代美術館 リオデジャネイロ州ニテロイの、海に面した断崖に建つ。
「宇宙船のよう」という形容そのまま。赤いスロープが円盤の光跡のよう。
どの角度からも素晴らしい。白い色が周囲とマッチしている。
模型の周囲は常に人が集っていた。
終わりの方では、サンパウロのイビラプエラ公園(1954年)の壮大な展示があった。
地表部分は絨毯に印刷されていて、靴を脱いで歩き回ることができる。
500㎡のアトリウム空間を活用した30分の1の模型。
古い市民公園だった180haの敷地に、サンパウロ市創設400周年を記念して大展覧会や文化イベントなどを開催するための複合文化施設。
模型が30分の1だから、自分の身長が50mくらいになる。
建物の周囲に樹木や人型が添えられている。
産業館は骨組みだけ。目線を下げるとまた楽しい。
オカという展覧会場。
内部に美しい階段がある。
会場の2階(別の展覧会場)からも眺められる。
実際の写真では天井の色がくすんでいた。白は美しいが手入れが大変なのだろう。
公式サイトにあった会場構成担当の西沢立衛氏のコメント。一押しはイビラプエラ公園とのこと。
スケールの大きな建築物の写真や模型を目にし、ブラジルに行って実物を見たい気持ちが高まりました。
せっかく木場まで来たので、同時開催中の別展示も見てみました。
つづく。