墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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建て替え目前のホテルオークラ東京・「美の宴」展 大倉集古館 江戸見坂 東京都港区虎ノ門

帝国ホテル、ホテルニューオータニとともに「御三家」と称されるホテルオークラ東京が来月から取り壊しされ建て替えになるということ、また美術展も開催中と聞いて見に行った。

昭和37年に開業した当ホテルは、4年後に地上38階・195mの高層建物等となる。

日刊建設工業新聞 » ホテルオークラ/東京本館建替(東京都港区)/事業費1千億円超、19年春開業

 

現在の様子。

立地が斜面で上から見ると「三ツ矢型」になっているので全貌をつかみにくい。丘の上の正面玄関からだと地上6階にしか見えないが、エレベータに乗るとここが5階であることがわかる。

 

 

建て替え計画のイメージ図。本館の部屋数は408室から550室に。高層棟にはオフィスも入る。http://www.okura.com/files/topics/2569_ext_02_0.pdf

ホテルに置いてあった「ホテルオークラ東京の意匠をめぐる」というパンフに、現在の本館についての説明が書かれていた。

デザインの基本理念は、「日本的建築美の創造」

世界各国からお客様をもてなす国際ホテルとして、すぐれた日本の伝統美を集め、意匠として再現することを目指し、今もなお色あせないデザインと現代的アレンジにより個性あふれる空間を創造しています。

 

本館

赤坂葵町と呼ばれ、坂に囲まれた起伏の多い高台の土地。幕末は前橋藩主、松平大和守の所有で、明治に大倉喜八郎が私邸としていた。息子・喜七郎が東京オリンピックを控え、ホテルの建設を企図して現在に至る。

・設計委員長:谷口吉郎氏

・意匠委員会:溝口三郎(文化財専門審議委員)ほか

・昭和37年(1962)5月20日開業

 

別館

設計委員長は谷口吉郎氏で本館の理念を受け継ぐ。

・昭和48年(1973)12月1日開業

 

谷口吉郎 - Wikipediaは帝国劇場や出光美術館、東京国立近代美術館も手掛けている。

 

 

地下鉄南北線の六本木一丁目駅から泉ガーデンのエスカレータを乗り継いで上り、丘の上の道を左に歩いていくとまず別館が見えてくる。

蔦が繁る壁の向こうはスペイン大使館。

 

本館改築中は別館が本館の役割を兼ねるそうだ。現在(2015/8)は改装中。

 

すぐに、屋根の反りが大きい中国風の建物・大倉集古館が見えてくる。

 

大倉集古館の方は昨春から4年間の予定で休館中。

 

道を挟んでアメリカ大使館がある。

 

 大きな青いサインが迎えてくれる。

 

丘の上、正面玄関からは意外に小さい。

 

宿泊客、見学客で賑わっていた。

 

玄関の正面に大倉集古館が建つ。宿泊者の興味を惹くようにできている。

 

玄関前からはアメリカ大使館の建物も見えた。

 

集古館を横から見ると、屋根のラインに反りと膨らみとが呼応していた。

 

集古館の設計は築地本願寺東京都慰霊堂も手掛けた伊東忠太。

本館が出来る30年以上前の昭和3年(1928)に完成している。

 

大倉集古館の建物は改修されてそのまま残る。

 

ホテルオークラ本館のエントランスロビー。前出のパンフによれば「フロント・カウンターを側面の目立たない場所に配し、メインロビーをエントランスロビーより一段低くすることで、落ち着いた雰囲気を醸して」いるそうだ。

 

こちらがメインロビー。写真を撮っている方が大勢いた。

 

2階から見たロビー。独特のデザインの灯りは、前出のパンフに次のように記されていた。

ランターン。

オークラ・ランターンの名で親しまれ、古墳時代の飾り玉に見られる切子型をデザインしたもので、五角形の板10枚をつなぎ合わせて切子型とし、五連つなげて一つとしている。内側には布を張り、和紙のような効果を出している。

なんと、ここで古墳時代の話が出るとは!

 

窓の上部の透かし模様。

 

2階(6階)でちらりと見えた、落ち着いた客室通路。

 

ロビーの世界地図。

 

こちらは1階のアーケード。セールで大賑わいだった。

 

1階の外は駐車場。ここからだと威圧感があった。

 

駐車場の横の急坂を上って周囲を回った。

 

かつては江戸の大半を眺望できた「江戸見坂」

 

かなりの急勾配だった。

 

(仮称)虎ノ門2-10計画とあった。

 

南側は業務用入口。

 

前に訪れた菊池寛実記念 智美術館はこちら側にある。

 

・開催中の美術展について

8月20日までは本館で最大の平安の間で、「第21回 秘蔵の名品アートコレクション展 美の宴 ~琳派から栖鳳、大観、松園まで~」が開催されている。

大倉集古館や他の美術館のみならず、企業や宗教団体が「秘蔵」する作品が並んでいた。

9:30~18:30で一般1300円。

 

以下は公式サイトからの作家一覧(生没年順)
宗達派、宮川 長亀、藤右衛門、福王 雪岑、観世 元章、 高 嵩谷、藤原 貞幹、喜多川 歌麿、酒井 抱一、藤井 松林、 富岡 鉄斎、高村 光雲、河鍋 曉雲、小堀 鞆音、竹内 栖鳳、 横山 大観、岡田 三郎助、アンリ・マティス、川合 玉堂、下村 観山、 上村 松園、今村 紫紅、池田 輝方、橋本 関雪、石崎 光瑤、前田 青邨、 池田 蕉園、清水 登之、土田 麦僊、村上 華岳、広島 晃甫、岡本 神草、 木谷 千種、東郷 青児、伊東 深水、中村 貞以、小磯 良平、橋本 明治、 片岡 球子、森 芳雄、杉山 寧、森田 曠平、加山 又造

 

「美人画」の点数、特に上村松園の作品数が多かった。

面白いと思ったのは宮内庁(三の丸尚蔵館)が所蔵する百福之図(明治22年:藤井松林)と百布袋之図(明治27年:河鍋暁雲)

後から対としたのかどうかわからないが、同じ紙幅の画面いっぱいにお多福の方は148人、布袋の方は129人(+唐子54人)が描かれていて、思わず見入ってしまった。

宮内庁所蔵ということは皇室関係者も気に入ったということだろう。

楽しくなる2点だった。

 

豪華な屏風絵も見ごたえがあった。こちらのインターネットミュージアムで会場の様子がよくわかる。

第21回 秘蔵の名品アートコレクション展 美の宴 | 取材レポート | 美術館・博物館・イベント・展覧会 [インターネットミュージアム]