1月25日の日曜日の午後、前日から始まった「新印象派展」を見に東京都美術館に出かけました。主催は都美と日本経済新聞社。
開始直後だったからか、日曜午後2時くらいの良い時間帯にもかかわらず混雑はなく、1枚の絵を1人~数人が見ている程度で見やすかったです。大人1600円。
美術館入口のポスター。照明のあたり方で左が暗くなっていますが、実際は明るい絵です。
美術館入場口の先の壁の装飾がきれいで写真に撮っていたら、そこは撮影不可とのことでした・・・現地でお確かめください。
下記は東京展のチラシから転載。
美術批評家フェリックス・フェネオンが「新印象派」と名付けたのは1886年のことです。この年の5月、最後とな る印象派展が開催され、ここでジョルジュ・スーラ、ポール・シニャックらによって色彩を小さな点に分割する新し い技法の作品が初めて発表されました。観る人の目の中で混ざるよう置かれた小さな点は、色彩の輝きと光の効果 を高めるものでした。新印象派の作品は、翌1887年2月にはベルギーに出品され、すぐに国際的な広まりを見せます。 1891年に新印象派の創始者スーラが早すぎる死を迎えた後、シニャックやクロスを中心に新印象派の様式は新た な展開を迎えました。色彩理論に忠実に従うことをやめ、自然の観察に基づく色彩からも解放されていきます。次 第に自由で豊かになっていく新印象派の色彩は、マティスらによるフォーヴィスム誕生の源泉にもなりました。 本展は、新印象派の流れをその誕生から20世紀初頭までの約 20年にわたってたどるものです。世界12か国から 厳選した珠玉の約100点を通して、画家たちの探究した色彩表現の軌跡をご紹介します。
特設サイトにある展示紹介
オルセーやメトロポリタンなど海外の12カ国の美術館からも作品が来ていますが、国内の美術館や企業が持っている作品も結構あります。どんな企業がどんな作品を買ったかを見ていくのも面白かったです。
自分は、ルイ・アイエという画家の作品に惹かれました(はじめて知りました)
網膜に映るものを「理科系的」に画面に再現しようとする姿勢が、スーラに近いように感じました。
リトマス紙のような紙に様々な色を明度を段階的に変えて塗ったものを沢山貼った作品(?)はそれ自体がモダンアートのようでした(美術館入口の壁のデザインもそれに習ったものではないでしょうか)
スーラが「グランド・ジャット島の日曜日の午後」(シカゴ美術館 2m×3m)の準備のために描いたクロントン(15cm×25cmの画面の習作)が何枚か展示されていていましたが(総数では40枚描いている)、そのサイズが面白いと思いました。
マチスの点描画もありましたが、まるで「色付き字消しテープ」を1センチずつ切り貼りしたような風でした。
全体に、点描による作品を見ていて感じるのは、画面に漂う静けさです(動きの無さというより音の無さ)
筆触自体にスピードがないからかも知れませんが、視覚が粒子の粗い色の集まりから像を結ぼうとして脳のメモリを食ってしまうと、聴覚の分のメモリが少なくなるからかも・・・まあ実際は構図によるのでしょうが。
展覧会の副題は「光と色のドラマ」でしたが、画家たちが追求する表現手段(対象?)が光の再現から色そのものへ移っていったことがわかるような展示構成になっているので、英語の副題「from Light to Color」の方がより合っているように思いました。