墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「物語絵 ーことばとかたちー」展 @有楽町 出光美術館

英題が、Monogatari-e Illustrated Narrative Painting  --"Words" and "Forms"

日本語の題では、源氏物語など「○○物語」が書かれた絵巻や屏風を集めた展覧会だと思われがちですが、英語の方が「言葉のテキストで語られただけの物語を、画家や発注者がどのような形に描き現そうとしたのか」を考えてみよう、という意図が、より伝わって来るように思います。

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下記は美術館サイトより抜粋。

物語絵に描かれた情景―〈かたち〉には、かならず原典―〈ことば〉があります。ただし、この2つはいつも〈ことば〉から〈かたち〉へ、という一方向の関係を結ぶわけではなく、互いに響きあい、時には絵画のほうが物語世界に新しい生命を吹き込むこともあったでしょう。絵にあらわされた物語の〈かたち〉のひとつひとつは、物語の作者が書き記したことの受け手ともいうべき画家たちによる、解釈の結果だからです。物語絵は、物語の〈ことば〉を目で追い、耳で聞くことでは到底語りつくされない、物語に広がる無限のイメージに対して、具体的な輪郭線が与えられたものだといえます。
この展覧会では、個々の物語絵を主題ごとのまとまりで見ていくのではなく、むしろ作品に固有の枠組みを取り払った結果、見えてくる〈かたち〉を分類し、6つのテーマを設定しました。

 

1月16日の金曜日の夕方、実は上野の「みちのくの仏像」を見ようと思っていたら門前で夜間開館は3月からと知ったので急遽のプラン変更。

この展覧会の方は毎週金曜は19時まで(入館は18:30)だったので、救われた形。

実は大きな期待をせずに行ったのですが素晴らしい内容でした。

ただし、それは入館してすぐ後、18時からギャラリートークが始まって学芸員の方の解説が聴けたことが大きかったかも知れません。

解説のあった作品は、①雪月花図(冷泉為恭:19世紀江戸時代)、②源氏物語図屏風(岩佐勝友:17世紀江戸時代)、③源氏物語図屏風(18世紀江戸時代)、④伊勢物語 富士山図屏風(俵屋宗雪:17世紀江戸時代)、⑤平家物語 小督図屏風(狩野尚信:17世紀江戸時代)、⑥西行物語絵巻(俵屋宗達:寛永7年・1630年)、⑦平家物語 一の谷・屋島・壇ノ浦合戦図屏風(17世紀江戸時代)、⑧蟻通・貨狄造船図屏風(伝 岩佐又兵衛:17世紀江戸時代)

若手男子学芸員による熱のこもったトークに、3,40人ほどの観客は最後まで聞き入っていました。結局50分に及んでフリー鑑賞時間は10分になってしまいましたが、物語の背景や画家の意識などの「視点」が得られて、より深く見ることの助けになりました。

特に自分は①②③は、解説がなかったら「通り一遍の数秒」で見過ごしてしまった(「理解した」と思ってしまう)作品だったように思います。ところがとても面白い作品でした。⑧は学芸員の方が「発見」した独自の解釈も披露されて大変興味深かったです。

作品的には平家物語の合戦図に圧倒されました。

 

展示終了の2月15日までにあと5回、1月15日(木)、1月29日(木)、2月12日(木)
で午前10時30分から、1月30日(金)、2月13日(金)で午後6時からなので、その時間に合わせて行かれることをお勧めします。

 

見所は美術館サイトにも掲載されています(ギャラリートークではより詳しい内容が聞けました)