松濤(しょうとう)美術館のリニューアル特別展「御法に守られし醍醐寺」展を見に行った。
サブタイトルは「国宝 過去現在絵因果経、15メートル36センチ全場面、”期間限定”いっきに初めて公開します!!」
絵因果経の今後の全場面展示は10/28~11/3、11/18~24のみで、この日(10/25)は前半場面のみだった。
土曜の午後で混雑覚悟だったが、とても空いていてじっくり見ることができた。
前期:10/7~11/3、後期:11/5~11/24 大人1000円。
9月まで奈良国立博物館で開催していた「国宝 醍醐寺のすべて」とは別物だが、俵屋宗達の舞楽図屏風(重文)は両展(松濤では後期)での展示。
出展作品は40点弱と少ないが国宝や重文も多く、絵因果経は30cmくらいの距離で見ることができた。しかも「独り占め」の時間帯も。
別の国宝「閻魔天像(平安時代)」や重文「虚空蔵菩薩像(鎌倉時代)」などは、壁掛けの展示だが保護ガラスが10cmぐらいの近さなので、細かい截金文様も肉眼で見えた。
また、重文の不動明王像(木造)は、ケーズなしで目線が合う高さに設置されており、こちらもすぐ近くから見させていただいた。
たまたま行った時間はギャラリートークが始まった直後で、学芸員の方の興味深い解説を聴くことができた(次回は11/15 14時)
不動明王の解説では、目や鼻、耳のパーツが大きくつくられている理由が面白かった。真言密教では、仏像を前にして9つの梵字を念ずる修行があるそうで、それぞれの字が左右の目や鼻など9個のパーツに対応づけられているので、遠くからでも識別できるように大きく作ってあるのだそうだ(という一説)
仏画の見どころとしての「色の使い方」の話も興味深かった。虚空蔵菩薩像の前での解説だったが、使用している色数が「紺丹緑紫(こんたんりょくし)=青赤緑紫」の4色に限られ、隣接するものの色がかぶならないようによく工夫されている。実際は各色に鉛白が混ざって8通り、さらに鉛白自身の白と墨の黒、截金等の金が加わる。
地下1階で仏画、仏像等の展示を見たあとは2階へ。鮮やかな屏風絵や、信長、秀吉、家康が醍醐寺に宛てた直筆の書状(国宝)が展示されていた。
白井晟一設計による建物自体も、重厚な石で覆われているが、やわらかいカーブが多用され、光溢れていて心地がよかった。
閑静な住宅街にある。
建物中央部に楕円形の穴が地下までぽっかり空いていて、ブリッジにも出られる。正面が美術館入口。
ブリッジから下をみると噴水と池があった。
見上げると青空。
建物内の階段も楕円のデザインだった。
帰りは1駅だけ井ノ頭線に乗った。神泉駅は、いつのまにか改装されていて、ホームも延長され、かつてのように最後尾のドアが開かないということはなかった。
行きは、渋谷の道玄坂から遠回りして行った。坂の途中の通り沿いに昭和の面影をよく残した看板建築の家並みがあったが、もう風前の灯火だった。