墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

画像が出ない場合はPCで、クロームOSでお試しください。

「ちいさな城下町」 安西水丸著

村上春樹本の装画・挿画でも著名だった安西水丸氏。
2014年3月に逝去された後の6月に発行された旅のエッセイ集。
オール読み物に連載された17+書き下ろし3、計20の城下町。

村上市(新潟県)
行田市(埼玉県)
朝倉市(福岡県)
飯田市(長野県)
土浦市(茨城県)
壬生町(栃木県)
米子市(鳥取県)
安中市(群馬県)
岸和田市(大阪府)
中津市(大分県)
掛川市(静岡県)
天童市(山形県)
新宮市(和歌山県)
西尾市(愛知県)
大洲市(愛媛県)
亀山市(三重県)
木更津市(千葉県)
高梁市(岡山県)
沼田市(群馬県)
三春町・二本松市(福島県)

はじめの村上市のところで、タイトルにつけられた「小さな」の意味が書かれている。
十万石以下の城下町の城址に佇むと感じ取れる「敗者の美学」や「権力への憧れや恐怖心」に惹かれるとのことだった。

それは「誰が城主だったか」を知っていることが前提になるが、安西氏は地元の郷土史家かと思えるほど詳しい。
千葉県木更津市の項には幕末に生きた請西藩主の林忠祟のことが書かれていた。
(自分は先月木更津に行ったのに、全く知らないままだった)

書かれた(描かれた?)どの町も、地元の歴史が語り継がれ、遺跡が大事に残されている場所が選ばれているように感じられた。
そこに安西氏自身の周囲の人々のストーリーが重ねられていて、面白い読み物になっている。

関東近郊でも土浦や壬生、沼田など、意外な場所の魅力が伝わってきて、今度古墳探訪とセットで訪れてみようと思いました。