旧建設省で近畿地方建設局長、河川局長などを歴任された著者による、「日本史の謎は地形でとける」3部作のひとつ。
他の本も読ませていただいたが、地形から歴史を読むこと、現地を訪れて自らが感じること・推理することを実践されていて、とても面白い。
日本史の謎は「地形」で解ける【環境・民族篇】 (PHP文庫)
- 作者: 竹村公太郎
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2014/07/03
- メディア: 文庫
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この本でも、なぜ家康は「街道筋の駿府」を終の棲家に選んだか、や、なぜ江戸時代には車の動力が「人間」に退化したか、などの興味深い話が数多く書かれていたが、最も惹かれたのは、なぜ日本文明は「海面上昇」でも存続できるか、の章。
海面が30m上昇しても、国土の7割が山岳地帯というであることが肯定的な意味を持ってくるという主旨だが、「早すぎる」海水温上昇の謎、の項が気になった。
定説の「二酸化炭素の濃度が上昇し、地球は温室となり、この温室効果によって気温上昇があり、海水温の上昇し、海水の熱膨張によって海面上昇が起こる」に対する疑問が提示されている。
(そもそも自分は地表の氷が溶けて海水が増えると単純に思っていましたが・・・)
竹村氏は2002年に福島第一原発で温排水(7℃)を見てから、当時の日本全国の原発の温排水量を試算し、年間で利根川総流出量の7倍になることに気づいた。
だからと言って火力がいいわけではなく、10万kWあたり必要な冷却水量は原子力の毎秒6~7㎥に対し火力も4㎥になり、当時の全国の火力発電所からの温排水(7℃)総量を試算したら、利根川の9倍になった。
原子力・火力での温排水量合計を世界全体で試算したら、利根川の117倍になると。
「冷却水」という言葉も、発電関連で使用する場合は「温排水」に統一したほうがよいですね。
電気をつくるために海を直接温めていたとは・・・