前回のつづき。
富田3号墳を見たあと、城山(じょうやま)古墳群の2号墳を目指す。
「房総の古墳を歩く」で小見川町コースの最初に登場する。
http://www.haniwakan.com/kenkyu/boso/omigawa.html
この本を片手に小見川(おみがわ)高校を訪ねた。
千葉県立小見川高校は古代の香取の海を望む台地上、古墳群があった場所にある。敷地内の端からは利根川方向を遠く眺めることができる。
高校建設にあたり調査された城山1号墳(古墳群の主墳。調査後石室を城山公園内に復元)からは、三角縁吾作三神五獣鏡や環頭大刀をはじめとする数々の副葬品や、円筒、朝顔形、家形、人物、馬形の各種の埴輪が出土している。事務所を探して歩いていると、盛土の上に復元家屋があった。
城山3号墳跡、弥生中期竪穴住居復元、の標柱。形としては方墳だが「古墳跡」なので復元か?
茅葺が丁寧に施されている。
復元家屋の横に説明版があった。ここは弥生住居あとの上に造られた方墳だった。
さすが高校構内の説明版で、詳しく、かつ時代全体が捉えられるように広い視点で書かれている。下記にそのまま転載。
竪穴住居の復元概要
ここに復元した竪穴住居跡は弥生時代中期(紀元前百年から後百年)のものであり、この地方の代表的な住居形態である。
平成7年11月から8年2月にかけて(財)香取郡市文化財センターが城山3号墳)7世紀前半に造られた一辺約19mの方墳)の発掘調査を実施した。調査を進めて行く中で、古墳の下から3基の竪穴住居が検出された。中でも、復元した住居が最もよく残っていた。
本住居跡は一辺が約6mの隅丸方形で4本の支柱穴が屋根の上屋を支える構造となっていた。住居内の埋土の中からは、土器、石斧砥石などの石器類、糸をつむぐ紡錘車、漁業に使用する土玉などが検出された。
当時の生活情報を推察すると、谷津田を利用しての水稲耕作が開始され、鉄器が使用され始めた頃に当たり、縄文時代に比べると大きな変化があった時代といえる。
縄文時代後期(前4千年頃)以降、気候の寒冷化に伴い海面が後退したため従来までのような貝塚(阿玉台・白井大宮台・良文)は形成されなくなるが、不安定な水稲農耕だけで生活していたとは考え難く、干潟の貝類(シジミ・ハマグリ・カキ・アサリなど)、魚類(ウナギ・コイ・フナ・イワシ・タイ・アジなど)、椎・栗などの果実類、鹿・猪・犬・狐・兎などが重要な生活の糧であったに違いない。
城山に住居した私達の祖先は、気候温暖、浅い内海に沿う小高い台地(標高42m)に萱・藁屋根の竪穴住居を構え、魚介類・動植物の豊富な食料資源に恵まれ、麻・草木の平織り布地の貫頭衣、土器、石器を生活用具にして内海(香取の海)の漁民としてさらに農耕民としての生活を送っていたことが推察される。 平成13年3月
方墳の上り口の脇には、気になる平石が3つ並んでいた。
ちょうど先生らしい方を見かけたので、「房総の古墳を歩く」の冊子を見せながら、校内の古墳を見学したい旨と、城山2号墳の場所をお聞きした。
生徒かなと迷うほどの若い男の先生だったが、赴任してきたばかりのようで、2号墳の位置がわからない。体育館でバスケの練習をしていた男子生徒に○○~これ知ってるか(知らないと即答)と聞いたり、別の女子生徒に聞いたり、一緒に探してくれたりしたが、よくわからず。
本にある「2号墳は小見川高校校庭の裏側体育館への通路脇にある」という言葉通りだと、下記の盛り上がりなのだが・・・
ちょっと上ってみたが、やはりよくわからず。くもの巣やトゲのある草もあり撤退。先生と生徒にお礼を言って別れた。
帰って埼群古墳館さんのサイトで位置を確認したら、学校敷地外の場所だったようだ。
http://sgkohun.world.coocan.jp/archive/index.php/katori_zyo02/
事前の確認不足だった。次回、冬に再訪して先生にも報告したい。
学校のHPを見ていたら「古墳トリオ」というマスコットキャラクターが紹介されていた。
http://cms2.chiba-c.ed.jp/omigawa-h/intro/mascot/
2012年の創立90周年にあたって、生徒がつくったとのこと。すばらしい。
http://www.chibanippo.co.jp/news/local/65687
小見川高校と同じ台地上、道路を挟んで城山公園がある。古墳群のある台地に、高校と公園ができたということ。 駐車場も完備されている。
移築復元された城山1号墳の石室を見に行った。
【再掲】2013/11の写真。古墳探訪のベストシーズンは晩秋か。
今回はスマホではないカメラ持参だったが、格子の幅が細かくて、カメラのフラッシュと位置が合わず、内部が撮れなかった。
この公園からの眺望はすばらしい。
ズームすると利根川の向こうの鹿島臨海工業地帯が撮れた。
つづく。