墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「古墳時代像を再考する」 広瀬和雄著

古墳時代像を再考する

歴史学と考古学とが交錯する古墳時代。

その時代への視点で、今2つの問題点がある、と理解した。

1つは、研究者の思考の枠組みが「発展史観」から出られないこと。

日本書記に記載される律令制度へ「進化」していく道筋に囚われていること。

もう1つは、発掘・保存活動が「自治体考古学」に留まっていること。

郷土の枠組みに囚われて、国家間の史実の影響や地域間を大きく括った枠組みが見えなくなっていること。

 

そもそも、いくら昔の人とはいっても、350年間を一括りにするには無理がある。

もともと幾内にも前方後方墳はあるので、中部・関東での「前方後方墳=地元」から「前方後円墳=ヤマト王権との結びつき」という認識も無理があるということも、頷ける。

人と人を媒介(国造、部民、ミヤケ)にして地方を支配していた前方後円墳国家がが、人と土地を媒介(国司・郡司・里長、戸籍、口分田)にして地方支配する律令国家に変わっていった、という整理はわかりやすかった。