前回のつづき。
阿光坊古墳群から八戸市内に戻った時点で、帰りの新幹線までまだ余裕があったので、さらに二ヶ所を巡った。
一つ目は、八戸市博物館。この日の朝に訪ねた丹後平古墳群の出土品を見に。
入館料は一般250円。展示室は、大きく3つ〜考古・歴史・民俗に分かれている。
http://www.hachinohe.ed.jp/haku/jousetu.html
考古展示室の縄文時代コーナー。
埋葬に使われた縄文土器。
是川一王子遺跡(縄文中期)の板状土偶。
模様づけなどの体験部屋も隣接する。
岩ノ沢平遺跡(八戸市)出土の土馬。平安期といっても律令政府の時代区分では語れない世界か。
そしてこちらが、丹後平古墳群の出土品コーナー。
丹後平古墳群出土の華麗なアクセサリー(重要文化財)
さまざまな種類の玉類が使われるが、各々の形は全国の古墳で見られるものと変わらない。
時代は、奈良~平安時代と表示されていた。
つなぎかたも当初の想定なのだろうか。
松浦武四郎さんが首にかけていたものを思い起こした。(↓過去記事より @ICU)
http://massneko.hatenablog.com/entry/2018/11/07/000000
こちらは鹿島沢古墳出土の壺や銅釧、杏葉や金銅製金具(馬具)
丹後平古墳群からの出土品195点は、昨年秋の平成30年(2018)10月に国の重要文化財に指定されている。
こちらの須恵器も重要文化財。
床面には、丹後平古墳群15号墳の主体部が原寸大で示されていた。
石を敷き詰めたあとに板を立てて棺をつくるのは、阿光坊古墳群と同様。
丹後平古墳群出土の轡。
丹後平古墳群出土の鉄釧、錫釧、錫製耳環。
丹後平古墳群出土の方頭大刀。
そして、やはり目玉は丹後平古墳群15号墳出土の「金装獅噛三累環頭大刀柄頭」
金装獅噛三累環頭大刀柄頭
長さ9.7㎝ 幅5.8㎝ 厚さ1.8㎝ 黄銅製
丹後平古墳群15号墳出土
柄頭は刀を飾る金具のひとつです。
この柄頭は、黄銅(真鍮)を素材とし、三つの環をつなげたクローバーのような形をしています。中央には金メッキをされた獅子が表現され、環には金象嵌による飛雲の文様が描かれています。
このような作り方とデザインの柄頭は、国内に例がありません。ただし、この柄頭が出土した15号墳よりも古い大韓民国羅州市伏岩里(ポクアムリ)3号墳で同じデザインのものがみつかっており、朝鮮半島で作られた可能性もあります。
本資料は、6世紀後半に流行する「装飾付大刀」の一種ですが、一緒に出土した柄木は7世紀後半のものです。このことから、この柄頭は遠い地で製作され、威信を示す宝物として長い間使われたものと考えられます。
見事な細工がきれいに残っている。中央は歯をむき出した獅子の顔。
重文指定を記念するシンポジウム「改めて出自をさぐる!獅噛三累環頭大刀柄頭」の資料は公式サイトから読めるようになっていた。
http://www.hachinohe.ed.jp/haku/sozai/TGTsymposium.pdf
こちらは歴史展示室には、海岸近くで漁をするための和船「カッコ」
室内の様子の再現など。
上階の展望室からは馬淵川(まべちがわ)が見えた。
博物館は国指定史跡「根城(ねじょう)」の跡に隣接する。
建武元年(1334)に南部師行(なんぶもろゆき)が築城し、寛永4年(1627)に領地替えで使われなくなるまで約300年間、八戸地方の中心であったそう。
土塁などの遺構が良く残り、復元建物もあって面白そうだったが、時間の都合で次の機会とした。