墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「ウィリアム・ガウランドと日本の古墳研究」展 @明治大学博物館・東京都千代田区神田駿河台

天理ギャラリーを見た後、北に徒歩12分の距離にある明治大学博物館をはしごした。

10月13日から開催中の特別展。

 

前回この博物館に来てから4年が経過していた。速い。

 

今回は大英博物館の全面協力で130年ぶりに里帰りする資料が出展されている。

明治4年(1872)に明治政府から30歳で招かれた英国人技師ウィリアム・ガウランド(1842~1922)は大阪の造幣局に勤めながら日本各地の古墳を400基以上訪ね、写真や測量図による精密な調査記録を残し帰国後に研究論文も発表している。

展示されているのは出土物やその絵、図面、写真が中心となるが、目玉は学会発表時に制作した全長5mの五条(見瀬)丸山古墳(畝傍陵墓参考地)の図面。

現在も石室マニア垂涎の的(しかし天皇陵で調査も不可)の日本最大の横穴式石室の図面は国内外を通じて初めての展示だからか、作ったばかりのようにきれいで大迫力だった。

その他、同時代の外交官アーネスト・サトウらとの交流を示す手紙や、ガウランドが収集した日本画の展示もあった。


登山も好きで日本アルプスの命名者でもあり、絵も好きだったということで、人物としても非常に興味がわく。

 

前回は展覧会にあわせたシンポジウムも聴講した。

今回もシリーズでの講義があるようなので都合があう回に行ったみたい。


特別企画展で入場料一般300円。

展示室前には、ガウランドが床面を20ヶ所のグリッドに区画して調査した塚山古墳の実寸3分の2の平面図(ここは撮影可)

芝山古墳は大阪府東大阪市東石切町、生駒山西麓標高80m程に築かれた前方後円墳(または造り出し付き円墳)で、河内地域でも最古段階の特殊な横穴式石室を持ち、ガウランドが自らの手で石室内の本格的な発掘を行った唯一の古墳だったが、1962年に宅地造成で消滅している。

 

今回は展示室内にも、一ヶ所撮影ポイントがあった。 

 

それはなんと、復元石室!

 

この白鳥塚古墳(7世紀)は兵庫県宝塚市の大本山・中山寺の境内に現存する。石室天井高2.87m、幅2.32mで家形石棺は全長1.9m。

ガウランドが1887年10月27日に調査し、実測図と写真を残した。

 

壁の石組みは写真です。石棺も模型。

Gowland Project が2016年にデジタル写真測量を行っていて、今回実物大で再現された。

巨石に囲まれる荘厳な雰囲気を味わうことができる。

 

奥壁側からだと現実に戻る。

展示物の写真は公式サイトで一部を見ることができる。

https://www.meiji.ac.jp/koho/press/2018/6t5h7p00000sqk46.html

 

常設展示室にも寄ってみた(こちらは入館無料)

明治大学が発掘した茨城県の舟塚古墳の埴輪たち(復原)

 

今回は力士のお腹に惹かれた。

 

常設展の一部の展示替えコーナーで、提携する南山大学人類学博物館からの「愛知の考古資料」を見ることができた。

 

6世紀前半に築かれた全長151mの前方後円墳(名古屋市熱田区・国指定史跡)断夫山古墳出土の円筒埴輪は、復原すると1m近い高さになるという。

 

須恵器のような色が特徴的だが、縦横に櫛で引っかいたような細かい模様が見られた。