墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

旧柳下邸(根岸なつかし公園) 神奈川県横浜市磯子区下町

6月16日の土曜日、朝日カルチャーセンター(新宿)主催の建物見学ツアーに参加した(写真多めです:50枚ほど)

 

こちらの主催によるツアー参加は2回目。

今回の講師は建築家の矢原奈欧氏。20名弱の参加者があった。

 

JR根岸線根岸駅に集合。駅の跨線橋から南を見ると、沢山の「タキ」が留置されていた。高速高架の向こうはJXTGエネルギー根岸製油所。

 

駅の出入口は北側にある。改札を出たところに、根岸中学の学生が中心となって作った手作り歴史マップがあり、熱い地元愛が伝わってきた。

 

この日の目的地、旧柳下邸の案内板もあった。大正中期に建てられた建物で、館内では大正から昭和初期の暮らしの雰囲気が体験できるとある。

 

根岸駅から徒歩10分の距離。

 

駅前から西に繁華街を150mほど進み、北へ曲って大通りを渡ると、道沿いには文化財のような一般のお宅が何軒があった。

 

板壁の門と松が素晴らしい家。

たまたまデイリーポータルZに「門かぶりの松」特集があったが、まさに該当案件。 

http://portal.nifty.com/kiji/180705203328_1.htm

 

そのすぐ先の斜面の中腹に、旧柳下邸があった。

下からは三角屋根の洋館だけが目立っていたが、上にあがると沢山の部屋がある和館の方が立派な邸宅だった。

 

建物は公園の一部となっている。入園・入館無料で、建物は午前9時半~午後4時半に開館、休館日は第2・第4火曜日と年末年始。

横浜市指定有形文化財・旧柳下(やぎした)邸
この建物は明治~大正期の有力商人であった柳下氏によって建設されました。大正12年の関東大震災では一部倒壊したものの、大部分は損失を免れました。その後、戦争などの激動の昭和史の中を柳下家の人々により大切に守り受け継がれてきました。
横浜市では平成8年に敷地を取得し、建物の寄附を受けて、出来る限り創建当時の姿を復元しました。平成14年11月には市指定有形文化財として指定されました。
館内では、大正~昭和初期の暮らしの雰囲気が体験でき、また市民の文化活動の場としてご利用いただけます。

 

公式サイトの解説によれば、建物の竣工は大正期中頃。洋館は関東大震災後の大正13年に上棟されている。柳下家は「銅鉄取引商」として金属の輸入業を営み、明治初頭より横浜の弁天通に「鴨井屋」の屋号で店を構えていたとのこと。

貿易商柳下家の迎賓館或いは別荘として、平成8年まで使われてきた建物だった。

 

直登の階段もあるが、緩い傾斜の坂道をゆっくり近づいた。

 

グーグルアースで上空からの様子もわかる。修復工事中のようだが。

 

アプローチの道はまず洋館側の下に出る。

 

側面から。スクラッチタイルが見事。屋根にはフランス瓦が葺かれていて、銅の棟飾りがつく。

 

その背後には和館と蔵がつながっている。

 

裏側(山側・北東側)から見た洋館。

洋館の土台かと思った石積みは腰壁のよう。洋館の四隅には二階まで貫かれた柱が外壁に表面を出しているように見えていたが、和館とつながる北側では1階に柱がなかった。

 

南西に向く正面側も、和館と結合している。

 

建物の前面にあまりスペースがなく、入り組んだ建物だったので全貌がつかめなかったが、後で調べると公式サイトに立面図と平面図が掲載されていた。

http://ne-yagishitatei.com/guide/

  • 旧柳下邸 立面図
  • 旧柳下邸 間取り図

 

玄関の屋根がはまり込んだ部分。2階建ての建物に付随するがスクラッチタイルは貼られていないという緩衝地帯になっているよう。

 

丸に「加」は柳下平次郎家の屋号。 鴨居屋は兄弟の柳下達蔵家との二家で営まれていたが達蔵家の屋号にはアンダーバーが入る。

 

玄関屋根。上の屋根にはムクりがあり、手前に出る庇も丸みを帯びている。

 

普段は閉じられたままの玄関。 

 

この日は特別に玄関を開けていただけた。 

 

入ってすぐにつくりつけの椅子もある。 

 

玄関前からの眺め。根岸湾(屏風浦)は埋め立て前は外国人から「ミシシッピー・ベイ」と呼ばれた風光明媚なところだったそう。

 

玄関のある東館の角。

 

見上げると洋館二階屋根の突き出し窓まで、賑やかな感じ。

 

その先には、コの字形の中庭。

 

西館の南東角。

 

西館の南側を回りこんで現在の玄関へ。 

 

西側の玄関から入って、西館の端で振り返ったところ。

 

上記を南側へ曲って突き当たりで振り返ったところ。廊下が素敵なお宅だった。


上記のすぐ左手にあるお茶の間から。中庭をはさんで向こう側に東館。

 

上記の左側。機能的な作りつけの家具。

 

西館の南の居間からの眺め。

 

西館廊下の窓から東館の玄関先。

 

西館廊下の南東角。小さな引き戸を開けて雨戸を閉める。

 

コの字形の中庭。

 

西館には五右衛門風呂の浴室もある。

 

美しい天井。蒸気が抜ける構造になっている。

 

その手前の脱衣所も見ごたえがあった。

 

放射状に化粧垂木が組まれた天井。

 

出入口のガラス障子の組子細工は松葉模様。 

 

節の多い床板は、水面の波紋を現しているとの解説があった。

 

掃除をしやすいように吐き出し口がある。

 

東館に入るとまず茶室(仏間)がある。

床の間風になっているが、竿縁天井が「床刺し(とこざし:床の間に対して垂直方向は不吉)なので、元は床の間ではなかったことがわかるそうだ。

 

表玄関を上がった部屋(表玄関前室)には飾りがしつらえられていた。

 

東館は接客用に格式高く造られている。

 

上記の左側。

 

客室に近い客用便所は一枚板の床。

 

トイレ前の廊下から。外に出ると、石の右にある水琴窟の音を聴ける。

 

トイレの手前を曲ると蔵の入口に。

 

蔵1階の天井格子。 

 

そしてこちらが洋館1階(の天井)

なんと部屋全体を取りそびれた。廊下から入る扉が横長の引き戸であるところが見どころ、などとの講師の話に聞き入っていた。

 

洋館2階への階段。階段からは立入禁止だった。

 

 

西館の障子の組子。西館の居間はぜひ住みたいと思わせる居心地のよさがあった。

 

8月13日までは「日本の夏」をテーマとしたしつらえが。大正から昭和初期の、良き時代感をたっぷり味わえると思います。

http://ne-yagishitatei.com/event/ev_season.html#ev_3003