前回のつづき。
江戸東京博物館へ行った際に、2016年11月に竣工した「すみだ北斎美術館」も訪ねた。
大江戸線の両国駅から徒歩5分。
住宅街にぽっかり空いたような緑町公園の南側に金属彫刻のような建物があった。
設計は妹島和世。建物上部は青空に溶け込むよう。
回っていくと表情が変わる。
複数の大きな直方体の柱が支えあって立っているような雰囲気。
さらに回り込むと凹んだ隅。
地面には箱庭のような植栽。
総武線の高架側。
三角のトンネルは自由に通り抜けられるようになっている。
万華鏡効果も。
通路によって独立した空間が分けられていて、講堂や図書館、ミュージアムショップがあり、ひとつが美術館エントランスになっている。
この北面から見た三角の右がエントランス。
内側から見たスリット部分。
上の階は小さなスリットに。
上の階で大きくなるスリットも。
展示室の外は自然光溢れる心地よい空間だった。
このときは「変幻自在 北斎のウォーターワールド」という企画展が開催されていた(6/10で終了)
思っていた以上に、さまざまな水の表現が示されていて改めて北斎の「凄さ」を体感した。
常設展示は撮影可。電子パネルが充実していた。
建物の器だけでなく、所蔵作品も充実した美術館だった。
http://hokusai-museum.jp/modules/Collection/
上記の公式サイトによれば、葛飾北斎(1760~1849)は現在の墨田区亀沢付近で生まれ、生涯のほとんどを墨田区内で過ごしたことが北斎美術館建設のきっかけになっているが、当美術館は2人のコレクターから寄贈された北斎コレクションを持つ。
ひとつは、ピーター・モース・コレクション。
大森貝塚を発見したエドワード・S・モースの血縁(弟のひ孫)にもあたる方で、 欧米における北斎の個人収集としては最高・最大の内容と言われていたものを、1993年のモース氏の急逝後、そのコレクションの散逸を惜しまれた遺族が美術館計画に理解を示し、総数600点に近い北斎作品や研究資料などを墨田区が一括して取得したとのこと。
もう一方は、楢崎宗重コレクション。
浮世絵研究の日本での第一人者が自身の研究活動の中で収集・所蔵していた浮世絵や関連資料で、美術館開設の趣旨に賛同して関係資料の収集などを指導していた氏から、1995年に一括して寄贈を受けたそう。
Wikipediaによれば美術館建設の構想は1989年からあり、1993年に土地が購入されたが財政難で凍結されたりと紆余曲折があったようだが、構想を発表したことがコレクション取得の機会を呼び込んだのだろう。
土地購入から美術館竣工まで20年以上を経たが、これも結局は素晴らしいランドマークが出来て良い結果になったのでは。
常設展示室にはリアルなマネキンも。動きそうだった。
常設展は400円(ぐるっとパスで入場できる)
企画展は1000円。次回は6/26~8/26で「ますむらひろしの北斎展 ATAGOAL × HOKUSAI」が開催される。