たまたま手に取った案内チラシにあった「山海図絵」(大正14年・木下美術館蔵)に惹かれ、久々に東京駅の美術館へ。
不染鉄(ふせん てつ:1891~1976)は、小石川の光円寺の住職・不染信翁の子として生まれたが日本画を学び、学校(現・京都市立芸術大学)を首席で卒業したり帝展に何度も入賞したりと高い評価を得ながらも、画壇を離れて”飄々と”絵を描き続けた異色の日本画家。
没後40年展だが前回の回顧展は21年前、東京での開催は初とのこと。
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201707_fusentetsu.html
展示作品は120点ほど。上記の公式サイトでは「鳥瞰図と細密画の要素をあわせ持った独創的な世界」と評されているが、大きな画面(186×210cm)に富士を描いた「山海絵図」には人々の暮らしや海中の魚までが細かく描きこまれ、圧倒されてしまった。
風景画がほとんどだが、故郷の光円寺のあたりや漁師として暮したことのある式根島、その後に暮した奈良の西ノ京などが、ノスタルジックに描かれる。
図録の解説には洛中洛外図やブリューゲルのバベルの塔なども対比の例として挙げられていたが、画面に近づいて描かれている家並みを見ていくと、家の中で寝転んで本を読む人などが見えてきたりするのがとても面白かった。
不穏な雰囲気が漂う廃船のある風景。
絶海の孤島を描いているが、島の中腹には人の住む集落がある。
おすすめの展覧会だと思います。
8/27まで、月曜休館。10時~18時で金曜は20時まで。一般900円。
インターネットミュージアムで展示室の様子が詳しく紹介されている。
http://www.museum.or.jp/modules/topics/index.php?action=view&id=963
久々に東京駅丸の内口に行くと、かなり整備が進んでいた。
自撮りの人々が絶えない。
樹木の周囲に大きな石のベンチ。
新宿駅西口のような地下へのスロープが2ヶ所あるが開口部は小さく、行幸通りの起点として芝生もある広場が整備されている。完成は今年2017年の冬。