墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

浅間神社下谷坂本富士(小野照崎神社富士塚)お山開き 東京都台東区下谷

半年近く前に小野照崎神社で富士塚を外から参拝した(下記)が、年に一度の山開きの際に登拝できると知ったので行ってみた。

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台東区による現地説明板は上記のエントリで書き起こしたが、こちらの富士塚は文政11年(1828)の築造と考えられ、高さは約5m・直径約16m。原形を良好に保ち、国の重要有形民俗文化財指定を受けている。

地下鉄入谷駅で降りて歩いていると掲示板に案内が。

 

小野照崎神社では御朱印を求める方々が列をなしていた。こちらの神社での御朱印の授与は、山開きの期間限定だそう。

 

茅の輪をくぐって、七夕飾りで賑やかな拝殿に参拝。 

 

拝殿の左隣に聳える富士塚へ。

 

門の両脇には山の下に「東」の提灯。この富士塚を築いた方々が属する富士講は「東講」だった。

 

賑わいの富士塚。登山道は境内に面した側だけに、つづら折りについていた。

 

登山道沿いにあった、横穴を模したような祠。 

 

山頂はあまり広くはない。

 

山頂から見おろす登山道。

 

連なる提灯。夜は明かりが灯るのか。

 

社殿と反対側の昭和風のお宅。

 

積み上げられた岩は、かなりの量。

 

下山は上りと別ルート。

 

玉垣の上を臨時の橋が渡り、歩きやすいように配慮がなされていた。段差の大きな箇所で参拝客を誘導する係りの方もおられた。

 

入口の門柱の裏。左側は万延元年。

 

右は天保七年とあった。

 

門の外側には手を合わせる猿の像。

 

境内の木に、開山式等に関する説明が掲げられていた。

下谷坂本富士開山式
6月30日(火)午前10時斎行
・下谷坂本富士 開山式について
富士浅間神社例祭である「お山開き」は、毎年6月30日と7月1日に斎行され、1年間でこの2日間のみ、御神体であります下谷坂本富士が解放され、登拝が可能になります。
30日の10時より開山式として御仮屋での神事の後、祓主を先頭に氏子崇敬者が列立し「六根清浄」を唱えつつ登拝をし、頂上にて四方を祓い天下泰平と五穀豊穣を祈りを捧げ、本山である富士山に向かい遥拝をした後に下山をして祭事のすべてを終えます。
多くの提灯や七夕飾りで彩られた境内に、山を登る子供の声が響き、半年の納めと新たな半年の始まりを告げる当社のお山開き。期間中、すべての祭典・催しが一般の方のご参列・ご参加が可能となっておりますので、お誘いあわせんの上、ご家族でお運び頂ければ幸いです。

 

こちらの説明では富士塚が築かれた時期が50年近く早くなっていた。神社の公式サイトには文政11年(1828)の築造とあった。

浅間神社 下谷坂本富士について
当社の境内に聳える富士山や、江戸時代に富士信仰を布教した南沢正兵衛の門人である東講 講元 山本善光が、氏子はもとより江戸八百八町に広くご浄財を募り、富士山より岩石を船積みして運び、隅田川より荷車にて当地まで陸送をし、天明年間(1782年)に築山されたものです。そのご浄財の額もさることながら当時の運搬技術や運搬環境を思うと、その大変な労力とそれに増しての信仰心の力強さに驚嘆させられます。
今では廃してしまっておりますが、昭和の中期まで、お山の門前には富士五湖を模した池が5つ並び、胎内洞窟を模した大きな横穴もあったそうです。そこまでの精巧な再現から当時のこの地方の方々の想いの強さが伺い知れます。築山されてから230年の月日が経ちますが、登拝が2日間に限定されていることや、蔦や草の根がしっかりと張り巡らされて土を強固にするといった先人の山守りの知恵に護られ、今も昔ながらの荘厳な姿を見せています。

 

富士塚と龍神信仰 ~水分(みくまり)の龍と蛇~
「不二(二つとない)」「不尽(尽きることがない)」などが、いわれとされる富士山。活火山である富士の山頂には、噴火を絶つ水神・龍神と崇められるタツタヒメが鎮まられ、富士山をご神体とする浅間神社には水を司る女性神であるこの木花開耶姫コノハナサクヤヒメ)がお祀りされています。古来より龍神は雲や雨水を司る神として農民からの信仰が篤く、蛇は龍の化身とされ、その脱皮は新生を意味し、蛇の出現は瑞祥と考えられてきました。
現在坂本富士では途絶えてしまっておりますが、江戸時代にはお山開きの日に降龍を見立てた麦藁で編んだ蛇を水難消除として水回りに吊るしたそうです。そういった水神様とのご縁からか、かつて下谷の界隈が飢饉に見舞われ水も干上がった時も、当社の井戸水だけが枯れなかったという故事が今も伝えられています。また古来より富士登拝は公的な性格も持ち合わせ、個人の願いを持って登るのではなく、そこには行けない多くの人の幸せを願って、無事登れていることの感謝を噛みしめ登るものとされています。道中端々で自然の驚異を感じながら粛々と登拝をすることで本当の願いだけが残り、浄化・再生されるのです。水の神様、山の神様への感謝を込めて年に一度のご登拝を頂ければ本意に尽きることと存じます。

 

こちらが開山式も行われた御仮屋か。