墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

「海の向こうから見た倭国」 高田寛太著

3世紀後半から6世紀前半の”古墳時代”の日朝関係の歴史を、日本列島と朝鮮半島南部の古墳を手掛かりに読み解いていくという非常に興味深い本でした。

 

海の向こうから見た倭国 (講談社現代新書)

海の向こうから見た倭国 (講談社現代新書)

 

 

 日本各地にに築かれた朝鮮渡来系の古墳や、韓国南部に築かれた倭系の古墳を、立地や築年代、構造や副葬品を丹念に見ていくことによって、「倭国百済連合」対「新羅」などという単純な構図ではなく、各地方が戦略的に外交的つながりを持とうとした動きがあぶりだされていくように感じました。

 

朝鮮半島南部では高句麗の南下が契機となり、新羅百済伽耶国などが互いに対立や連携する際にそれぞれが倭との関係をカードとし、一方で日本列島側でも北九州(磐井)や吉備での”乱”など各地が地域の存続・繁栄のために、ヤマト王権との関係だけではなく朝鮮の各地とも連携していたことがわかります。

 

半島と列島で交流の橋渡しをした人びとの痕跡が、日本・韓国の双方の古墳に残されていますが、「当時の境界を往来しながら倭と朝鮮半島を結びつける役割を担った、いわば境界に生きる人びととして評価することが、より重要である」(本書187頁)という著者の言葉に共感しました。

 

著者の高田貫太氏は1975年生まれで岡山大学で考古学を専攻され、韓国慶北大学へ留学され現在は国立歴史民俗博物館の准教授。

冒頭は瀬戸内の女木島の古墳探訪から、さらに韓国での現地調査や学生時代の発掘調査の様子などがその場にいるような筆致で書かれ、わくわくしながら読み進めることができました。

 

古墳ファンのみならず、日本古代史や日韓関係に興味がある方、また旅行好きの方にもおすすめの一冊だと思います。

 

 

・追記

調べていたら著者ご本人による”サイドストーリー(?)”が講談社・現代ビジネスのサイトにありました。

gendai.ismedia.jp