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墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

特別展「世界遺産ラスコー展~クロマニョン人が残した洞窟壁画~」 @国立科学博物館 上野

前から楽しみにしていたラスコー展を見に行った。

副題は「2万年の時を越え、洞窟壁画が東京に出現!! 世紀の大発見を体感」 

ラスコー洞窟は、フランス南西部のヴェゼール渓谷にある。

 

1940年に地元の少年たちによって偶然発見された2万年前の洞窟壁画。洞窟内には動物の絵が600と記号が400描かれていた。世紀の大発見として100万人以上が訪れたオリジナル洞窟は保存のため1963年に閉鎖されたが、1983年に見学可能なレプリカの洞窟「ラスコー2」が近くに作られ、その後に遠隔地での展示が可能な「ラスコー3」も作られて今回上野にも来ている。

 

現地の「ラスコー2」はグーグルアースで見たらこんなところ。

 

壁画を描いたのはクロマニョン人。展示マネキンはリアルだった。

 

こちらも映画俳優のようにかっこよかった。

 

最初の部屋は洞窟構造の縮小模型。一部を除いて撮影可。

 

模型の内部を覗くと洞窟空間の雰囲気を感じることができる。

 

発見の経緯のパネル展示など。

 

世界初公開の、壁画を描いた顔料の展示(撮影不可)もあった。赤色はオーカー、黒色はマンガン鉱を細かく砕いた粉を用いている。

 

いよいよ原寸大レプリカの部屋へ。3次元レーザースキャン技術に手作業を加えて再現された精度1mm以下の壁画が5点見られる。

 

洞窟内部にいるように周囲を暗くしオリジナルに近いように配置されている。

 

約2mの大きさになる”黒い牝牛”

 

彩色と線刻の2つの技法が使われていて、線刻の方はブラックライトで照らされてわかるように展示されている。数分ごとの間隔でライトアップが入れ替わる。

 

「背中合わせのバイソン」赤い色は春の毛並みを表している。 

 

「褐色のバイソン」

 

 こちらの線刻では、刺さった槍が表現されている。

 

 「井戸の場面」に描かれたバイソンと、その前の人。

 

人(中央やや上)はトリのような頭の形、その下の鳥形は投槍器(槍投げの補助具)と推定されるそう。

 

公式サイトに詳しい解説がある。 

特別展「世界遺産 ラスコー展 〜クロマニョン人が残した洞窟壁画〜」

 

上記のサイトにもあるが壁画だけでなく、トナカイの角やマンモスの牙、滑石などに彫られた動物やヴィーナス像など、素晴らしい「芸術作品」が見られる。

道具としてのランプ(洞窟で絵を描く際に油を入れたハンディ柄杓)も、今ホームセンターに置いても違和感がないほど形として完成しているように感じられた。

 

描いたもの・作ったものの芸術性やデザイン性は非常に優れており、2万年を隔てていても同じ”ホモ・サピエンス”である現代人と変わらないのではという思いになった。

 

展示の最後では、同じ後期旧石器時代の日本列島について触れている。

20~10万年前にアフリカで誕生したホモ・サピエンスが世界各地へ拡散した時期は、ヨーロッパで4万7千年~4万2千年前だが、日本列島へも3万8千年前に来ている。

 

想定される3つのルートで多少渡来年代が異なるようだ。 

 

日本ではクロマニョン人がつくったような”芸術作品”は出土していないが、”創造的活動の証拠”は見つかっている。

 

そのひとつが今年9月に沖縄のサキタリ洞遺跡から出土した釣り針(左下)。

発見されたのは今年。

massneko.hatenablog.com

 

現地には洞窟カフェもある。

ガンガラーの谷・サキタリ洞遺跡で国内最古(9千年以上前)の埋葬人骨発見のニュース - 墳丘からの眺め

 

日本の旧石器コーナーでは黒曜石の展示もあった。

黒曜石は日本に数ヶ所しかない産地から広範囲に流通していた。

 

産地のひとつは長野県和田峠。3年前に斜面を掘った痕跡を見学した。

2013夏の旅2日目 星糞峠、鷹山黒曜石体験ミュージアム - 墳丘からの眺め

 

神津島産も関東で広く出土しており、それが世界最古の往復航海の証拠にもなっている。

 

世界最古の”磨製石器”も。

 

3万年以上前の磨製石器の展示物は、なんと自分の実家のすぐ近くで出土したものだった。

多摩蘭坂遺跡(東京)出土の磨製石器石斧(砂岩製、凝灰岩製:後期旧石器時代前半)

 

2017年2月19日まで。一般1600円だが、金曜日の夜間展示(8時まで)には5時から限定のペア券(2人同時入場で計2000円)がある。