墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

慶應義塾大学 旧図書館 東京都港区三田

前回の、慶應義塾大学アート・センター主催によるガイドツアー「三田山上で出会う近代建築と彫刻」のつづき。

演説館を堪能したあとは、西校舎学食の壁画と3つの彫刻作品を観て、もうひとつの重要文化財・旧図書館へ。

強い日差しを受けて赤煉瓦の地に白い花崗岩が輝いていた。

竣工は1912年。煉瓦造りだが関東大震災の後に一部鉄筋コンクリートに改修されている。戦時中には空襲で屋根が抜けて内部が炎上したが修復された。

 

設計は曽禰中條建築事務所。イギリスに留学した中條精一郎(1868~1936)の最初期の傑作で、尖塔アーチや大時計、八角塔などの意匠は、当時イギリスで流行していたゴシック・リバイバルの流れを汲む。

白い石のラインが目立つこのクイーンアン様式はイギリスでは大通りに沿った建物に取り入れられ、街路全体を賑やかしていたそうだ。

ちなみにジョサイア・コンドルによる三菱一号館辰野金吾による東京駅もクイーンアン様式の影響が色濃く現れている。

Wikipedia中條精一郎によれば、現存する作品は他に神戸郵船ビル、小笠原伯爵邸、旧三井銀行小樽支店、明治屋ビル、講談社ビルなどで、日吉キャンパスの建物も手がけている。

 

周囲の木々が育ち過ぎて建物全景を捉えにくくなっている(見学は冬のほうがよいか?)

 

玄関ポーチの破風には50周年記念の文字が刻まれる。

 

現地の解説板。 

重要文化財 慶應義塾図書
この建物は義塾創立五十周年を記念し明治45年4月、工学博士曽禰達蔵、工学士中條精一郎両氏の設計監督によって完成したもので、外国人の手を全く借りずに造られた洋風煉瓦館としては一級品である。震災、戦災による被害を修復し、今日なお当初の遺構を留めている。煉瓦建築の少ない我が国にあって、建築史上貴重な存在である。
様式:ゴシック式 建築面積:684.4㎡ 昭和44年3月12日指定

 

玄関内側。左右に縦長の穴が穿たれていた。 

 

緩いカーブだが先は尖ったアーチ。

 

修復中で玄関は閉じたまま。完成は3年後。

内部の正面階段上には、原画・和田英作、制作・小川三知によるステンドグラスがあるそう(戦災後復元)

小川三知のステンドグラスは鳩山会館でも拝見した。

 

建物正面の福澤諭吉像は記念写真ポイント。

 

大時計の文字盤の部分にはラテン語で「光陰矢のごとし」と記されているとのこと。

 

南東隅の八角塔。

 

窓枠や柱の意匠が凝っている。図書館が建った当初は建物のすぐ東の台地下がキャンパス入口で、構内に入る人々に大きなインパクトを与えていたはず、とのことだった。

つづく。