前回のつづき。
目黒区と気仙沼市は「目黒のさんま祭」が縁で友好都市協定を結んでいる。
その気仙沼市にあるリアス・アーク美術館(1994年開館、建物は石山修武設計)は、被災2年後の2013年4月に「東日本大震災の記録と津波の災害史」を常設として再オープンした。
もともと震災以前から津波も地域文化の一つと捉えて資料を集め展示もしてきた美術館だったが、震災後一週間も経たない内から学芸員たちは震災の記録調査活動を開始、すぐに自治体からの特命も受けて2年間にわたって気仙沼市内や南三陸町の被災現場をくまなく記録したその写真が、「地域の未来の為にどう活かしていくか」をテーマに展示されている。
目黒区美術館では「東日本大震災の記録と津波の災害史」を東京で初めて大規模に紹介するもので、被災現場と被災物の写真パネル約260点とともに被災物(現物)11点なども展示されている。
すべての写真に200字程度のキャプションがつくが写真とともに読むと、音や匂い、寒さや埃っぽさ、足元のおぼつかなさなどが視覚に加わって真に迫る。
瓦礫だらけの商店街や水没した土地、屋根上の軽自動車や螺旋状になった線路、魚網で覆われた学校、2階屋だけがポツンとある広場、ボロボロになったバスが寄り添う姿など、非日常的な風景ばかりだが、キャプションの文章を読むことでその場に居合わせているようなリアリティーがあった。
入場無料、撮影不可。3月21日まで。
ぜひご自身の目で。