墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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特別展「始皇帝と大兵馬俑」 @東京国立博物館・上野

会期末が近づいてきた(2月21日まで)ので、2200年前の軍団の”実物”を拝見してきました。

東博入口の看板。

 

紀元前221年に中国を統一した秦王の”政”は、王の称号を止めて皇帝と初めて称して始皇帝となった(BC259~210)在位はBC221~210年の11年間。

「焚書坑儒」のイメージが強いが、全国に郡県制を敷いて中央から官僚を派遣し、貨幣・度量衡・文字を統一し、中央集権の機能によって国を治めた。

直前は春秋戦国時代(BC770~,403~)、後の時代は高祖(劉邦)が開いた漢王朝(BC202~AD8)になる。

始皇帝陵は政が秦王に即位した13歳時(BC247年)に造り始めている。兵馬俑は1974年に発見され、現在でも発掘調査が継続中。

 

自分が昨夏に見た仁徳天皇陵(大仙古墳)は、全容を見るのが難しいほど巨大で、堺市のサイト”世界三大墳墓の大きさ比較 堺市”に始皇帝陵とも互角のようなスケールで現されているのを見て、古代日本もすごいと思ったが、実は始皇帝陵は墳丘だけではなく全体で55平方キロ(山手線内の広さの約9割)を占める途方もない面積で都市のような街区も造られていたことをあとから知った。始皇帝陵-初の中国を統一する皇帝の墓

 

兵馬俑が見つかったエリアはその片隅にすぎないが20haになる。昨年NHKスペシャルでも取り上げていた。

始皇帝陵|NHKスペシャル アジア巨大遺跡

 

こちらは会場の平成館の看板。

公式サイト。

下記の東博のサイトより。

今から約2200年前に「最初の皇帝」を名乗り、中国大陸に統一王朝を打ち立てた秦の始皇帝。その陵墓のほど近くに埋められた「兵馬俑」は、20世紀の考古学における最大の発見のひとつと謳われ、出土以来、新しい知見と驚きをもたらし続けています。本展では、バリエーション豊かな兵馬俑と始皇帝にまつわる貴重な文物を一堂に紹介し、始皇帝が空前の規模で築き上げた「永遠の世界」の実像に迫ります。

http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1732

 

メイン展示は兵馬俑で歩兵の他に将軍、軍吏(部隊長)、立射、跪射、馬蹄、御者、雑技とさまざまな役割の男たちの像が並ぶ。2011年の「空海と密教美術展」のときのように、一体一体を360度から見ることができる。

異なるのは奥の壁全体を使って写真とレプリカで兵馬俑坑の様子を再現していること。その一角には記念写真スペースも用意されていた。

 

現地で確認されているのは約8000体。レプリカ9体でも大迫力。

 

もともとは彩色されていた。髪、服、肌など各部に異なる色が使われていた。

こちらに復元の写真があるが、ちょっと・・・兵馬俑 - Wikipedia

 

顔がひとつひとつ異なっていて実際の兵士をモデルにしたとも言われている。気が遠くなるような作業。焼くのにも大量の木材を必要としただろう。

 

他にも興味深い展示がある。

もうひとつの目玉は2分の1スケールの銅の馬車のレプリカ2台。実際に始皇帝が乗ったものをモデルとしていると考えられるそう。

 

さまざまな出土物も数多い。辺境の一小国だった秦が巨大帝国になるまでの過程も展示物によって示されている。

西周王朝の後継者としての意識や、高原地帯の西戒(せいじゅう)や匈奴との関わりを示す装飾品、宮殿を飾った巨大な水道管(!)や瓦、模様がはいったレンガ・磚(せん)、統一した貨幣や度量衡の道具も。

重さの基準を示す「権」には始皇帝の文字が刻まれたいた。

 

個人的には、かつて千葉市埋蔵文化財センターで見た、鎌倉時代の「権」のルーツも見られてよかった。

姉崎二子塚古墳 姉崎神社 大覚寺山古墳 千葉市埋蔵文化財調査センター - 墳丘からの眺め

 

企画展を見たあとは常設展コーナーで挨拶に。

重要文化財のハート型土偶。縄文後期(BC2000~1000年)、群馬県東吾妻町郷原出土。

 

真横から、肩のうずまき。

 

なんと江田船山古墳(熊本県玉名郡和水町)出土の国宝・銀象嵌銘大刀の展示もあった。石室から出た副葬品で5~6世紀という時代に75文字の銘文が刻まれている。

 

魚と水鳥。

 

反対側には馬。

 

そして埴輪の方々。

重要文化財・短甲の武人 埼玉県熊谷市上中条出土 6世紀

 

挂甲(けいこう)の武人 栃木県真岡市鶏塚古墳出土 6世紀

 

琴をひく男子 伝茨城県桜川市出土 6世紀

 

国宝・挂甲の武人 群馬県太田市飯塚町出土 6世紀

の上半身

 

横顔。結構鼻が高い。

 

 甲の後ろ側。

 

背中の靱(ゆき)、矢を入れる装備。

 

ズボンの裏側。

 

本館の展示も歩きながらで見学。目にとまったのはこちら。

重要文化財・伝源頼朝坐像。鎌倉時代13~14世紀。

 

誰かに似ている・・・