11月21日まで京橋で開催中の下記の展示。
「鉄道遺構・再発見」展 @LIXILギャラリー 京橋 - 墳丘からの眺め
関連企画があったので参加した。
LIXIL|企業情報|文化活動|関連イベント情報|対談「次代へのヒント- 鉄道遺構から見る、考える」
産業考古学会の会長で元日本大学教授の伊東孝氏とワークヴィジョンズ 一級建築士事務所代表の西村浩氏による対談。伊東氏は展覧会に直接関わり、西村氏はLIXILから出版された「鉄道遺構再発見」の本を伊東氏などともに執筆している。
はじめに伊東氏から、今回の展覧会のコンセプトや展示されていない案件の紹介があった。
「姿形は現役時代から変わってしまっていても、第2の人生を現役として頑張っているもの」「遺構のあり方に哲学があるもの」「見て面白く、ストーリーがあるもの」を。
選んだとのこと。
いくつかの事例のなかで、個人的には九州鉄道大蔵線の煉瓦遺構に強く惹かれた。
本筋の話ではないが、人間の第2の人生では「きょういく」と「きょうよう」が重要である(今日行くところがある、今日やる用事がある)という「つかみ」が秀逸だった。
遺構を文化財とするのは、「保存」自体が目的ではなく、「創造」して未来に引き継いでいくための活動、つまりLegacyとするのではなくHeritageとするためであるという言葉が印象に残った。
西村氏からは、自らが手掛けた岩見沢複合駅舎の事例の紹介。2000年に焼失した駅舎をコンペにより設計。かつて1500人の鉄道関係者が働いていた鉄道の町をテーマに、古レールや煉瓦をつかった駅舎を2009年3月に完成させた。
同年のグッドデザイン賞も獲得した素敵な駅舎のことは今回初めて知った。
大きなガラス面を支えている柱はかつて北海道内で使用されていた古レール。真っ直ぐでなかったり錆びていたりという材だが、時間がしみこんだその姿を活かす工夫がこらされており、その苦労話も興味深かった。
「時の痕跡」を視覚化する工夫として刻印のあるレールはその部分を白く塗ってわかりやすくしパンフまでつくって、1910年の八幡製鉄所製とか1900年の米国カーネギー社製とかの由来をめぐれる展示施設にもなっている。
今や地域のシンボルであり、地域の人が集まる施設。
お話のなかで紹介された動画では、駅が「ふるさと」の象徴になっている。
岩見沢駅の敷地にはかつて機関車の修理などが行われた煉瓦づくりの「レールセンター」が建つ。現在は非公開のJR施設だが、ここでコンサートを行ったりして「公開」への道筋をつけようとしている地道な活動の紹介もあった。
ちなみに、日本で鉄道網が発展した時代は関東大震災前の煉瓦造り建物全盛期。煉瓦工場も鉄道に沿って作られた。北海道の煉瓦工場は4ヶ所あって、そのひとつが江別セラミックアートセンターなのだそう。
okkoさん(id:okko326)の記事につながりました。
伊東様、西村様、そしてLIXILギャラリーや会場のAGCスタジオの関係者のみなさま、貴重な機会をいただき誠にありがとうございました。