前回のつづき。
煉瓦タイル貼りの建物が見事なこの施設見学は、実は暗渠部分がクライマックスになっていた。
喞筒室建物正面の入口から階段を降りていく。穴の奥にベンチュリー管(流水量を測る装置)がある。
階段を降りて横穴に入っていく。この先で沈砂池手前で二手に分かれた水路が再び合流する。
振り返ったところ。
鉄の門扉がある手前の石壁に溝が掘られている。かつてはこちらに門扉(木製?)があって、人力で上げ下げしていたようだ。
タイル貼りの床は全体が緩やかに窪んでいる。穴があいているのは設営時に密着させるためとのことだった。
合流ポイント。奥から手前に流れるので正面壁に石の補強はない。
壁面にも床面にも微妙なカーブがついている。2つの流れが合わさったときに余計な力がかかったりしないように考えられた結果とのこと。計算結果なのか経験値なのか気になった。
その先に阻水扉室がある。
上記の図の部分のアップ。赤丸の場所に立つ。
左右2つずつの大型ポンプへ向かう接続暗渠入口。上部に大きな鋼鉄の扉がある。
圧倒的な迫力の鉄塊。大きな鎖で固定されていた。
東側への接続路内に入る。
ちょうど喞筒室の真下にあたる。大型ポンプ2機につながる円筒が下がっている。
この部分に水が溜まるようになっていて、円筒管で吸い上げた。
円筒の下床はワインの瓶底のように富士山状の出っ張りがあった。「整流用の山型ガイド」との解説で、水を吸い上げやすくする工夫のようだ。
再び中央部に戻り、合流部を振り返ったところ。
奥側の接続暗渠への入口。東側。
西側。茶色部分は乾いた錆び。汚れではない。(暗渠内、特に臭いも感じられなかった)
東壁にある直径91cm(3尺)の場内返水管。平成11年まで使用された施設だが、東京都の下水は汚水と雨水の「合流」なので大雨等で本体施設が溢れそうな時に、この施設に水を送っていた。距離が短いせいか勾配がよくわかった。
このあと、この上にある喞筒室を見たがポンプの横に連絡穴もあった(円筒が見える)
非常に充実したツアーでした。丁寧に解説いただき、誠にありがとうございました。
江戸時代から玉川上水で水を引くのに微妙な傾斜を測って長い距離を結んだことは聞いていたが、下水も地下トンネルの微妙な傾斜を自然に流れるように造られている。
よって、中継箇所や処分場ではそれを汲み上げるポンプが必需品となる。
今回この大きな構造物をみて感銘を受けたが、何キロにもわたる下水道をつくったことも大変な苦労があったと想像された。
資料館には、今でも使われているJR神田駅付近の煉瓦造りの下水道「神田下水」(非公開)の写真もあった。
レクチャールームのある棟には、マンホール蓋の展示もある。