墳丘からの眺め

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日本の美・発見X 躍動と回帰 桃山の芸術展 @出光美術館

有楽町の出光美術館で、屏風絵や陶器などの桃山期の作品展示を開催中とのことで見に行きました。

 

実はチケットショップで「風景画の誕生展」を買ったときに、ちょっと気になって一緒に買ったのがきっかけ。

 

最新の展覧会 みどころ - 出光美術館(東京・丸の内) - 出光美術館

以下は公式サイトから。

桃山時代の絵画は、どれも豪華でエネルギッシュな魅力に満ちていますが、その斬新な発想の一端は、過去の時代の絵画、とりわけ日本の生活に深く根ざした「やまと絵」の主題と技法を大胆に変容させることで生まれたものだといえます。

一方、この時代に頭角をあらわしたやきものは、志野・織部・古唐津、そして高取、備前、伊賀など、いずれも日本のやきものの歴史を大きく塗り替えた、豊かな造形性に満ちています。「歪み」「割れ」といった負の要素をこそ、肯定的な美の創造力に置きかえたそれらは、実は、平安・鎌倉時代の六古窯で作られた壺や甕から、生命を包み、運ぶうつわとしての力を掴みとっていました。

本展は、ときに革新的とたたえられる桃山時代の美術の魅力が、実は過去の造形との関わりによって生み出されていることに注目します。出光コレクションから選りすぐった約90件の工芸作品と20件の絵画作品を通して、桃山時代の美術をより新鮮にとらえるための視点をご紹介いたします。

 

展示替え前に行ったので、江戸期に入ってからの「宇治橋柴船図屏風」や「柳橋水車図屏風」を観ることができました。解説によれば人物が描かれていない水辺の風景は、もともと伊勢物語など中心人物がある物語絵の背景(風景)のみが、クローズアップされて描かれたとの言及がありました。

このあたりの展開は、渋谷で見た「風景画の誕生」で、聖書の一場面の主題から背景のが独立していった展開と似ています。

ただ、展示にあった屏風絵の方は、元の物語は知っている(共有している)前提で、人は描かかれていないが物語を思い描かせるという2重構造にもなっているような雰囲気でした。

 

桃山期に、やきものだけでなく絵画においても、それまでの作法を変えていった(水墨画に鴉などの新しい主題を取り入れたり、水墨画主題だった中国由来人物をフルカラー屏風に表す等の)流れがあったという話は興味深かったです。

 

風俗画のカテゴリーでは、大阪夏の陣と屋島の合戦を左右に並べた屏風や、阿国歌舞伎図屏風が、いつまでも見ていたくなるほど表現としても見事でしたが、テーマの扱い方としても桃山期の進取の気性が現れていることが理解できました。(どちらも展示期間終了ですが、後期は重文の祇園祭礼図などが出ています)

 

風俗画の主題には、平安期からの「やまと絵」の伝統として、物語絵や名所絵、そして月ごとの人々の生活をあらわした月次絵(つきなみえ)があるそうですが、Bunkamuraの「風景画の誕生」展でも月暦画や季節画(カレンダー・ペインティング)の展示が充実しているので、この機会に両方を見比べてみるのもよいのでは、と思います。

時代的にも重なっているところがあります。

 

「躍動と回帰 桃山の芸術」展は10月12日まで、風景画の誕生展は12月7日までです。

ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生展 @Bunkamura ザ・ミュージアム 渋谷 - 墳丘からの眺め

 

出光美術館へは最近伺う頻度が高まっているので、来年度は一般会員もありかもと思うようになりました。

(年間8000円で、本人と同伴者1名はいつでもフリーパス)

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