最近手にとった本: 日本列島「現代アート」を旅する
そこに紹介されていた常設展示を見に行った。
著者は、東京藝術大学大学美術館館長で金沢21世紀美術館館長でもある秋元雄史氏。
以下は表紙裏の解説。
本書は、日本に数多ある現代アート作品の中から、これだけは絶対見ておきたい傑作10点を著者が選び抜いて紹介します。感動型、体験型など種類も様々です。そして、それぞれの作品の楽しみ方、アーティストの人となりから、作品が生まれた時代背景まで詳しくわかりやすく解説します。最高の作品には、人の心を動かす力があります。その力を肌で感じるのが、現代アートを理解し、楽しむ早道です。本書を片手に、現代アートを体感する旅に出てみませんか。
金沢21世紀現代美術館、香川のイサムノグチ庭園美術館・豊島美術館・地中美術館(直島)、そして千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館は、自分も過去に訪れたことあります。どの美術館でも、美しさや楽しさ、驚き、ドキドキ、安らぎ、崇高感、パワーの充填等々、さまざまな体験をさせていただきました。
他にも、いつかは行きたいと思っている場所が、解説とともに案内されていて、訪ねたい気持ちが強まりました。
著者のすすめる全国10ヶ所のひとつに「アートファクトリー城南島」における三島喜美代の作品展示がありました。
三島喜美代 | 現代日本彫刻家は1932年大阪府生まれ。油彩画、コラージュによる平面作品を経て、1971年から陶に新聞紙や雑誌を転写した作品を発表。1986年にロックフェラー財団奨学金によりニューヨークに留学。数々の賞歴を重ねて現在も製作活動中。直島には「巨大なゴミ箱」の作品がある。
7/12の日曜日、お昼過ぎから夕方まで時間が空いていたので出かけてきました。
土・日・祝9:00~17:00 平日9:30~21:30 入館無料 駐車場あり
レンガ壁が美しい建物。赤枠のアクセントも効いている。
はいってすぐの展示室。ゴミを固めたようなブロックが並ぶ。
「Newspaper 08」への入口
新聞が山と積まれた通路を入っていく。
いきなり中が真っ暗だった。そんな風に本にはかかれていなかったようなと思いながら、係りの方が見当たらなかったので、そのまま手探りで進んだ。
内部は迷路のようになっていたが、非常口のような緑の明かりがあった。
がそこは行き止まりだった。実際は写真よりずっと暗く、それでも写ったカメラの機能に驚いた。
出口のあかりらしきものが見えてほっとした。
「作品」を出たところ。
使われた新聞は1970年頃から2000年頃までの30年間に日本や世界で起きた事件の記録となっており、その「時間」が実体を持つ量となって感じられる仕掛けとなっていた。
その背面には「Work92-N」が。焼き物の新聞だった。
冒頭の本では「三島を一躍有名にしたのは、この陶磁の技法の現代アートへの応用でした」とあった。
煉瓦になりそこねの塊のようなものも並べられていた。
そしてその先には、広い倉庫の床一面が、煉瓦ブロックで覆われていた。
「Word2000-Memory of Twentieth Century」
ひとつひとつの煉瓦に、時代を象徴するような新聞記事が転写されている。
内部の2階にも上がれるようになっていた。
上から見た床の煉瓦ブロック。総数は約2万個になるそうだ。
先述の本には以下のように説明があった。94頁~95頁。
今、表に見えてい記事はどれも日本のものですが、裏を返すと、英語、仏語、独語、中国語、韓国語など世界の言語による新聞記事が転写されています。片面は日本、もう片面は海外です。20世紀の100年分にあたる1900年から2000年までの中から抜粋したものです。明治、大正、昭和、平成という日本の年号とも関連しますが、ダイレクトに西洋暦の1世紀分。まさに近代を象徴する20世紀を対象に、そこから記事を抜き出しています。この作品を制作するために、図書館でマイクロフィルムを繰りながら記事や写真を選んだと三島はいっていました。
一回りして入口に戻ったら係りの方がいて、最初の作品の「暗さ」について質問したら、単なるスイッチの入れ忘れだった。
灯りが点った「Newspaper 08」にもう一度入る。
情報の束がリアルに迫る。
8枚目の写真とほぼ同じ位置だが、印象がまるで違う。
外へ出ると、2階への赤い階段が目に入った。
上がると雰囲気のいいテラスになっていた。と、すぐ目の前を着陸態勢の飛行機が横切っていった。