墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

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「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」 森美術館 @六本木ヒルズ

5月25日の月曜日、下の子が運動会の振替え休校だったので自分も休暇取得。

子供は夕方から別の予定があるので昼過ぎに帰れる行き先を探したら、月曜日も開いている森美術館で面白そうな展覧会があるではないですか。

 

日比谷線六本木駅で降りて、長いエスカレーターを上がると、ビルの根本の広場に出ます。 

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ルイーズ・ブルジョアの蜘蛛「ママン」も健在。

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美術館入口へ向かうとチケット売り場に向かう行列が50mほど伸びていました。

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同時開催で6/28までスターウォーズ展と岸本斉史ーNARUTO展が開催中、チケット売り場は共通なので15分ほど並びました。

大人1800円。スターウォーズ展・屋内展望台とのセット(のみ)です。

この日は屋上展望台も開いていたのでそれもつけて+500円。

 

まずはスターウォーズ展へ。入場してすぐの撮影可のスペース。

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この先は行列が続いていたのであきらめて入口から出ました。

 

そして目的地の「シンプルなかたち」展へ。残念ながら全て撮影不可。 

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森美術館のリニューアルオープン記念でポンピドゥーセンター・メスとエルメス財団との共同企画展。先史時代の石器から現代美術まで、単純で美しい「シンプルなかたち」をまとった130点が日仏両国から出品されています。

 

現代作家の作品以外は小品が多いですが、2万年前のビーナス像、中世の日本の茶碗、雪舟や仙厓、円空、マチスやピカソ、マン・レイ、アルプやフォンタナもあります。

現代作家の作品は見ごたえがある作品ばかりで、子供も面白がって見入っていました。

 

下記は 森美術館のパンフレットより。

森美術館は、2015年4月25日から7月5日まで、リニューアルオープンを記念して、「シンプルなかたち展:美はどこからくるのか」を開催します。

19世紀から20世紀にかけて、ヨーロッパでは数学、機械工学、生物学、地質学や考古学の探求の中で「シンプルなかたち」の美学が再認識され、工業製品や建築のデザインなどに多大な影響を与えました。同様に、その品格ある魅力は多くのアーティスト達を魅了し、近代美術の多数の名作を生み出しました。
一方、このような単純で美しい「シンプルなかたち」は、自然の中や、世界各国のプリミティブアート、民俗芸術、伝統文化の中にも、数多く見出すことができます。日本においては、工芸品や茶道具、仏像や禅画などに同様の美学が体現されています。
本展では、このような古今東西の「シンプルなかたち」約130点を「形而上学的風景」「孤高の庵」「宇宙と月」「力学的なかたち」「幾何学的なかたち」「自然のかたち」「生成のかたち」「動物と人間」「かたちの謎」という9つのセクションで構成しています。古くは先史時代の石器から、現代アーティストによるダイナミックで先鋭的なインスタレーションまで、地理的なひろがりと歴史的なつながりを示しながら展望し、時空を越えた普遍的な美を描き出します。「シンプルなかたち」が備える普遍的な美は、私たちが生きる上で真の豊かさとは何かを問い直すことでしょう。

 

入ってすぐに目を見張る打製石器がありました。

「月桂樹の葉」と呼ばれる火打石(28.4 × 7.8 × 0.9 cm )

紀元前22,000~17,000年のもので、フランス国立考古学博物館所蔵。

2年前に群馬県の相澤忠洋記念館で見た岩宿出土の旧石器も美しさでは引けを取りませんが、こちらの方が長さで4倍ほど。大きいですが薄くて迫力がありました。

その他、建築家ル・コルビジュエが浜辺で集めた石や、写真家ブラッサイによる拾った石を磨いてつくった作品シリーズに惹かれました。

 

その先には、グザヴィエ・ヴェイヤン(1963~) の「光線(トリポスタル)」という作品が会場全体を覆っていました。ポリプロピレンでできた巨大なハープ弦のような作品は見る位置によってダイナミックに形が変化して面白かったです。

 

その先の小部屋ではオラファー・エリアソン(1967~) の 「丸い虹」。7色の日蝕を見るような感動がありました。

 

「力学的なかたち」のセクションでは、大巻伸嗣(1971~)  の「リミナル・エアー スペース-タイム 」という作品が綺麗でした。2012年の「アラブ・エクスプレス」展で黒い原油の噴水が出ていた会場です。部屋一杯に広がる薄布を下から送風機で吹き上げて形を次々と変化させていました。背景の窓の向こうの街にかかる雲のようにも見えました。

 

また、ひと部屋使ったアンソニー・マッコール(1946~)  の作品は、真っ暗な部屋の中で、部屋一杯の円錐を光で描いていて見ごたえがありました。

 

その先の展示室では考古学的、民俗学的に貴重な作品の展示。

小さく(8.6×5.2×1.6cm)ても輝いていたのが「女性の頭部像」

紀元前2500年、前期青銅器時代・キクラデス文明のもの。子供の手のひらにのるほどのサイズで、幅数ミリの細い鼻のかたちがわかるだけのシンプルな頭部ですが、丁寧に石を削ってつくった知性が強く感じられました。

 

最後のコーナー「かたちの謎」で力を放っていたのが、カールステン・ニコライ(1965~)の「アンチ」

デューラーの「メランコリアⅠ」(1514)の画中にある多面体に触発されて製作された、300 × 255 × 255 cmの黒い多面体です。

解説板を見ると「手をかざすと音を発する」を書いてあり、やってみると重低音が出ました。それまでしんとしていた室内が重低音が響き、多面体の存在感が同じ部屋の写真展示の2001年宇宙の旅のモノリスのような存在感を発揮していました。

 

以上の何点かのほかにも、たくさんの魅力的な作品がありました。足を運ぶ価値の高い美術展だと思います。

 

個人的にはブランクーシと並べてほしかったのは、縄文時代の人頭形土製品だったですが(似ているだけか・・・)

 

平日の昼間だったので展示室内は全く混雑無く、気持ちよく観ることができました。

7/5までの期間で、一部展示替えがあります。