2014/12/11の琉球新報の記事より。
県立博物館・美術館(安里進館長)は11日、南城市玉城前川の観光施設「ガンガラーの谷」内にあるサキタリ洞遺跡で、9千年以前のものとみられる人骨が見つかったと発表した。
人骨は、頭部や上半身部分などで関節が組み合わさった(交連)状態で発見された。同館によると、埋葬された可能性あるといい、「当時の人々が洞穴を墓として利用していた可能性を検証する、新たな手掛かりとなる」と話している。移動された形跡はなく、原位置で発見された交連の人骨としては県内初で最古という。
ガンガラーの谷は、2013年8月に訪れていたので、そのときの様子を。
那覇空港から南へ、車で30分ほど、平和記念公園やひめゆりの塔へも行ける位置で、おきなわワールド・ハブ博物公園と隣合う場所にある。
洞窟と、洞窟の天井が崩れて谷になった場所を1時間ほど歩くツアー(一人2200円、要前日までの予約)が開催されていて仲間で参加した。
予約した時間に間に合うようにカーナビをセット。炎天下の駐車場に車を停めてゆるい坂道を下っていくと、いきなり大きな洞窟が口を開けていた。
この場所はカフェになっており、自然の歳月が作り上げた芸術作品のような鍾乳石の天井を眺めつつアイスなどを食べられる。ワクワクしながら集合時間が来るのを待った。
オリエンテーションを受けてツアー開始。かつての洞窟内部だが光が降り注ぐ谷を歩く。しばらく行くと大きなガジュマルの木があった。
元は地上部から生えているが、枝が下に垂れてきて谷の下にも根を張り、大きな滝のようになっている。
野生のパパイア。中心の幹(茎?)に実がなっていた。
洞窟として残っている場所も通る。
この場所も広いホールのようになっている。ここで「港川人」(この場所から1kmほど南の海岸沿いの崖から発見された、1万7千年前の旧石器時代の人骨)の解説を受ける。
サンゴ礁が隆起したカルシウム質の土壌だから人骨も残った。
通常の土壌中だと100年くらいで骨は分解されてしまうらしい。
よって、1500年前後遡る”古墳”から人骨が出ることは珍しい。
それが、9000年も前の地層から埋葬された形で発見されるとは!
下は、このツアーで、貝塚時代(本土における縄文時代を含む時代区分)の埋葬場所ではないかとガイドの方が言われていたポイント。このような場所のひとつから今回の「国内最古の可能性がある埋葬人骨」が見つかったのでは(要確認ですが)
ツアーの終わりごろ、地上の展望台に出る。正面の海沿いの崖が「港川フィッシャー」という港川人の骨が出た場所。「埋葬された形」ではないが、こちらは9000年の2倍も昔の、1万7~8000年前。ケタ違いに古い。
港川人は、おもろまちの県立博物館で復元レプリカが見られる。
おきなわワールド側に出口があった。この日は時間の都合でこちらは入園せず。
なお、このあたりは、太平洋戦争で日本軍が最後まで戦ったエリアから東にはずれるため、戦跡にはならなかった。下記の詳細地図の具志頭(ぐしかみ)の東隣が港川。
http://www.okinawa-senshi.com/shimajiri-soushi2012.htm
もし、年末年始で沖縄に旅行されるのであれば、ガンガラーの谷は是非にお奨めしたいスポットです。
自分もできれば再訪して「埋葬人骨が発掘された場所」を、今度はカメラで(スマホでなく)撮りたいです。