前回のつづき。
常福寺から東に2kmほどの場所に、国指定史跡の上高津(かみたかつ)貝塚があり、史跡公園・考古資料館として整備されている。
常設展示も充実した、とても立派な資料館だが名前が惜しい。「上高津貝塚ふるさと歴史の広場(考古資料館)」と広場の付属品のような扱いになっているので、「上高津考古博物館」とでも変えた方がよいかと思います。
この考古資料館で「武者塚古墳とその時代」展が11/30まで開催中。
古墳出土物が重要文化財指定を受けたことを記念するもので、見ごたえのある展示内容だった。
入館料は大人105円。
第13回特別展を開催します(上高津貝塚) | 土浦市公式ホームページ
1階が展示室、2階はワークルームや展望室がある。縄文土器を触ったり、「縄文時代の服」を着ることができる。
入って右手の企画展示室。残念ながら中は写真撮影不可。
大刀や勾玉も見ごたえがあるが、なんと言っても下記の3点は、未盗掘古墳出土物ならではの、他で目にすることはできないような珍しいものだった
・美豆良(みずら)残欠:結った状態の被葬者の髪の毛
・鉄柄銅杓:下の写真の左下。「杓」の部分はお茶碗より大きいサイズ。柄は鉄製だが細く「水を満たせるほど柄の強度はない」そうだ。
写真は下記の土浦市公式HPで見られる。
武者塚古墳出土品が国指定重要文化財となります(上高津貝塚) | 土浦市公式ホームページ
・銀帯状金具:上記のひしゃくの右上の帯状のもの。長さ49.5cm、幅2.3cm、厚さ0.1mmで、全面に透かし彫りが施されている。リズミカルな唐草文は法隆寺四天王像や玉虫厨子の金具に認められるもの。冠帽の一部または金具として用いられたようだ。下の写真は特別展の図録(500円!)より。
もう一度、国宝展へ行って確かめねば。
常設展示コーナーも充実している(一部を除き撮影可)
上高津貝塚の資料館であるので、貝塚に関する展示が中心。
入り江状の沿岸では貝塚が数多く残っている。霞ヶ浦は現在は淡水湖だが、縄文時代は「海」であった証左。
下の写真にあるように、シジミもあるがハマグリもある。
稲敷市の広畑貝塚からは製塩用の土器も出土していた。下のパネルには「この地域は、日本で初めて塩づくりが行われた地域であると考えられています」とある。
考古資料館から100mくらい離れた場所に、貝層断面展示施設があった。
下記のように半屋外の展示となっている(ので開放感があった)
加曽利貝塚の施設は貝塚に溝を掘り込んだところで左右の壁を見学したが、こちらは周りを掘り込んで残った壁を見学する。
この展示施設の後ろ(下図のC字形の茶色の部分)が貝塚。中心の緑のところが周囲より数m高くなっていて、貝塚は斜面に広がっている。
周囲を巡る気持ちのよい散策路を反時計回りにゆるやかに上った。
右側(円の外側)は下りの傾斜になっていた。このあたりは縄文時代と変わらない風景か。
展示施設から一番離れた場所(丘の上)に、竪穴式住居3棟が復元されている。
上記の背中側は芝生の広場が広がる。
中心が若干凹んでいる、非常に気持ちのよい場所だった。
小さな子連れの家族が幸せなひと時を過ごしていた。
縄文時代の墓を復元したコーナーもあった。
展示施設側からの広場の眺め。ほのぼのとした気分で帰路に着いた。