現役の採掘場を見た後に、江戸時代の採掘場跡に向かった。
はじめに個人のお宅(石材屋さん)の「最高級の大谷石」を使った蔵を外から見学。
虎目という縞模様がはいっている。明治期の築造とのことだが、新築のように綺麗だった。
蔵は2つあり、両方とも虎目仕様。
それから里山を少し登る。私有地になるので一般には立ち入れないエリアになる。
茂みの中から大きな長方形の穴が顔を出す。
そして「穴」の中へ。
江戸時代の手掘りの場所。だからこその形(引き算の造形?)の面白さがある。
床面積が広いので、穴というよりホールの印象。柱となる部分が掘り残されているが、強度計算のない時代は「経験」で進めたのだろうか。彫り跡が生々しい。
壁に挿した棒に板を渡し、80kgの石を背負って運んでいたそうだ。
山全体が大谷石で出来ていることがよくわかる。大きな山塊がスパッと気持ちよく切り取られている。
そして、いよいよツアーの核心部へ。
用意されたヘルメットとライフベストを着用して暗闇へ向かう。このあたりから肌寒くなる。坑内気温は年間で5度~10度の変化とうことで夏は涼しく、冬は暖かいそうだ。
広大な採掘跡の空間に水が溜まって地底湖にようになっていた。水際に並んだ明かりが、神殿のような効果を上げている。
2班に分かれてボートに乗り込む。
深いところは6mくらい。水は石の粉が混ざるので濁っている。
天井が徐々に低くなって頭ぎりぎりになる場所にも行く。天井は湿ってざらざらしており、触ると石の粉がつく。
暗闇に穴のような上陸地点があり、そこで一旦下船した。
そこから少し行くと、上から光が差し込む地点に到達した。
ちょうど目線となる先から上に、雲のような霧があり、そこに日光が差し込んで光の柱のようになっている。
しばし見とれる。
空に雲がかかって光量が減ってからの感じもきれい。霧の形が変化するので、見飽きない。
再度乗船して引き返す。オペラ座の怪人の雰囲気。
大谷石には天然ゼオライトという素材が含まれており、吸湿性に優れるそうだ。
「洞窟の床」は、石切で生じたゼオライトの粉の層になっていて、空気がカラッとしている。鍾乳洞にあるような「ジメジメ感」がなく気持ちが良かった。
ボートを降りて別の場所も見た。こちらは水に直接日光が差し込んでいた。
天井に水面の光が反射して輝く。
2枚前の写真奥の四角い窓のような場所に回りこんだ。そこにはトロッコで石を運んだ跡があった。
坑道は崩壊していたが、レール跡の先には搬出口の外光が見えた。
いろいろな場所が思わぬところでつながっている。
戦時中の中島飛行機の工場跡もあった。(下記の礎石のようなものだけだが)
参加した方が「アリの巣のようだ」と表現していたが、3D迷路のような味わいもある。渋谷駅のような3Dマップを作ってもらえると良い記念になるのではと思います。
以上で「探検」は終了。
ツアーには昼食が付いているので、食事する場所へ向かうとのこと。
※追記:素晴らしい食事だったのですが、ネタバレになってしまうので(すみません、長い間ネタバレのままにしてしまいました)ぜひご自身で体験ください!
最高のツアーでした。
ここまでの「ツアー」にするためには、さまざまな準備があったそうだ。
地底湖の水位(年間通して4、5cmしか変動しない)や洞窟内の振動(振動計を90箇所設置しているが、小さな欠片の崩壊もないそう)などの計測データを数年かけて集め安全性を確認した上で実施しているとのこと。
ガイドの方、スタッフの方がみなさん温和で終始にこやか。気配りも行き届いていて気持ちが良かった。ありがとうございました。
すでに後の予約が100組を超えているらしく、1回のツアーが14人まで(ボートの都合)、月に2,3回の実施を考えると、これからの予約は半年以上先になる計算ですが、それだけ待つ価値のあるツアーだと思います。
えにしトラベル(株式会社ファーマーズフォレスト)