墳丘からの眺め

舌状台地の先端で、祖先の人々に思いを馳せる・・・

画像が出ない場合はPCで、クロームOSでお試しください。

明治大学博物館 @御茶ノ水

御茶ノ水駅の西口の近くに明治大学アカデミーコモンがある。ガラスを多用した開放的な建物で2004年にオープン。その際に博物資料が統合されて「新博物館」となったそうだが、6/22まで10周年特別企画「明大博物館クロニクル」を開催している。

 

通りからは門もなく、建物前広場には若者が集っていて、キャンパスの雰囲気。

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エスカレータで地下1階へ。今回の企画展は無料(常設展も無料)

写真も、手持ち撮りで自分の楽しみのため(ブログ含む)ならOKとのことで嬉しい。

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明治大学では、1950年に文学部考古学専攻ができたそうだ。つまり調査研究自体に60年以上の歴史がある。今回の企画展は「コレクション形成の検証」がテーマになっていた。「考古部門」「刑事部門」「商品部門」に分かれていた。

始まりは、登呂遺跡、岩宿遺跡、夏島遺跡の発掘資料と、杉原荘介氏の個人コレクション。

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その後1970年代までが「発掘ラッシュの時代」。

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坂本万七氏(写真家:1900~1974)の寄贈コレクション。

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帽子をかぶる男子埴輪(茨城県石岡市柿岡)

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 そのコレクションには、中国の青銅器も。

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下記の「弩機・前漢代(BC206~AD8)」は、引き金のある弓矢のようなものだろうが、今でも通用しそうな感じがした(先日逮捕された容疑者が作った、3Dプリンタ製の銃のようでは)

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ここから地下2階の常設展へ。

階段を結構深く降りる。常設展会場は天井が高く、照明も凝っていて、資料が充実しているだけでなく、展示のされ方が美術展のようだった。

こちらも「考古」「刑事」「商品」の3部門に分かれており、複数の学芸員(ボランティア?)の方が、数組の観覧グループについて丁寧に説明をされていた。

考古部門は岩宿から。パネルには「相沢忠洋が発見し、明治大学が発掘した」とある。

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相澤忠洋が発見した「槍先型尖頭器」は、岩宿の「相澤忠洋記念館」に行かないと見られない。昨年5月に訪れたが宝石のように美しかった。

http://massneko.hatenablog.com/entry/2013/05/07/093408

「槍先型尖頭器」(相澤忠洋記念館サイト)

http://www15.plala.or.jp/Aizawa-Tadahiro/tenji/sentouki/sentouki.html

 

黒曜石の展示も充実。長野県の星糞峠の「黒曜石採掘鉱山」の説明パネル。

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数千年~1万年前では「黒曜石」を介した「ヒトとモノの交流」があった。

星糞峠は昨年8月に訪れたが、確かに山の中腹の小さな凹面の周囲のあちこちに、黒曜石の小さなかけらが「星の糞」のように輝いていた。

http://massneko.hatenablog.com/entry/2013/08/14/104753

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金属器の前の時代では、黒曜石は「それがないと獲物を狩ることができない」生活必需品だった。塊を割り砕いた欠片も「細石刃(さいせきじん)」として骨角製の槍に装着したと考えられるそうだ(替刃方式の歴史は古い)

なお、現代でも「黒曜石の刃」のメスを愛用する外科医もいる、とプロ(外科医)の方から聞いたことがある。

 

刃を割り出す「剥離技術」にはシベリアから伝わった「湧別技法」と、西から太平洋側沿いに伝わった技法との違いがわかるそうだ。

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縄文時代の出土品も充実。

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平たい石に模様が刻まれた「岩版」が興味深かった。

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重文もある。顔面付壷型土器。

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弥生式土器も充実(ゆっくり見る時間がなかったので次の機会に・・・)

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そして、古墳時代。日本列島東部に光をあてている。

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 日本列島東部の古墳。

オレンジが古墳時代前期(~400年)、薄紫が中期(400~500年)、青が後期(500~600年)、緑が終末期(600年~)

おそらく明治大学が発掘に関係したものなのか、大きくても載っていない古墳(名取市の雷神山古墳や富津市の内裏塚古墳等々)があった。

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 古墳時代の土器の型式とその年代がまとめられていた。わかりやすい。ありがたい。

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古墳群に関する説明では霞ヶ浦の北岸が取り上げられていた。

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下図にある舟塚山古墳、三昧塚古墳、富士見塚古墳は、昨年5月に訪れたが、どれもきちんと整備された素晴らしいところだった。

http://massneko.hatenablog.com/entry/2013/05/07/094329

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その北岸の古墳のひとつ、舟塚古墳の人物埴輪が6体も展示されていた。

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刀に手を掛けた武人。

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兜の鋲がリアル。大きな球体が面白い。

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冠をかぶっている。

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 口端が上がっていて、しかも目じりが下がっていて親しみやすい顔の方も。

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何度も訪れたい場所だった。

当館は大学施設でもあり、ウェブ上の解説が丁寧でわかりやすい。次回は「読んでから来よう」

 http://www.meiji.ac.jp/museum/archaeology/kouko.html

(できれば展示パネルもウェブ上に公開していただければ、大変ありがたいです)

 

 刑事部門の展示も「充実」。

目玉展示のひとつ「ニュルンベルグの鉄の処女」 高さ170cm位か。中に押し込める「串刺し系(処刑系なのか拷問系なのか解りかねるようだが)」

となりにはギロチン(両方ともレプリカ)もあった。

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多分、半日いても飽きることのない、都会の穴場だと思います。